みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

鎌先温泉由來記 - 翻刻

鎌先温泉由來記 - ページ 10

ページ: 10

翻刻

冬季(ふゆき)は積雪艸木(せきさつさうもく)を埋(うつ)み千歳経(ちとせふ)る松(まつ)も姫小松(ひめこまつ)と なりにける大原山(おほはらやま)の雪(ゆき)の曙(あけぼ)のと古歌(こか)の心(こゝろ)を思(おも) ひ合(あわ)せて四方(よも)の降雪眼(ふるゆきめ)のあたりに見(み)るも面白(おもしろ) し又感多(またかんおほ)し朝(あさけ)には異禽(いきん)の声(こえ)を聞(き)く夕(yふべ)には自(みつか)ら 茶(ちや)を煮(に)ることを楽(たのしみ)とし四季折々(しきをり〳〵)の詠(なか)め変(かわ)るを 山家常(やまがつね)の習(なら)ひなり 〇温泉室一宇(おんせんしついちう)にして板屋木羽葺湯油竪(いたやこはふきゆつぼたて)三間二 尺横二間|四方(しはう)ともに石(いし)にて畳(たゝ)み上(あ)げ湯(ゆ)の深(ふか)さ 二尺|中間(なかま)に板壁(いたかへ)を隔(へだ)て南(みなみ)の方(かた)を雑湯(ざうゆ)とす北(きた)の 方(かた)を留湯(とめゆ)と称(しやう)す是(これ)は中古白石(ちうこしろいし)の領主片倉氏(りやうしゆかたくらし)の 浴室(よくしつ)にして庶人(しよにん)の入(い)る事(こと)を許(ゆる)さず故(ゆへ)に留湯(とめゆ)の 名(な)のみ有(あ)れとも今(いま)は諸人入(しよにんい)る事更(ことさら)に妨(さなた)けなし 滝(たき)の高(たか)さ湯面(ゆめん)まて六尺雑湯(ろくしやくさうゆ)に二滝留湯(にたうとめゆ)に一滝(いつたう) なり泉源(せんげん)を一口(ひとくち)なれとも之(これ)を大小(たいしやう)に分(わか)ちて大(おほ) 滝小滝(たきこたき)の名(な)あり 〇温泉沸出(おんせんわきいつ)る源(みなもと)は浴室上(よくしつじやう)の湯神社(ゆじんじや)の奉灯(ほうとう)の下(した) の所(ところ)なり 〇泉源(せんげん)の上(うへ)に薬師堂(やくしたう)あり今(いま)は温泉神社(おんせんじんじや)と称(しやう)す 〇泉源(せんげん)の傍(かたわら)には温泉(をんせん)の碑(いしふみ)あり 〇浴室上(よくしつじやう)の玉垣(たまかき)は湯(ゆ)を分(わか)つ所(ところ)なり