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コレクション: STAGE1

鎌先温泉由來記 - 翻刻

鎌先温泉由來記 - ページ 11

ページ: 11

翻刻

〇湯主(ゆぬし)の庭本宅楷前(にわほんたくかいぜん)にあり天然造(てんねんざう)にして巌山(がんざん) 巍々(ぎ〳〵)として屹立磊石(きつりつらいせき)たる凹(くぼみ)なる所(ところ)には草木青(さうもくせい) 々(〳〵)として碧(みと)り盛(さかん)なり岩間(いわま)に山道(やまみち)を付(ふ)す其傍(そのかたわら)に 火灯或(ひとほしあるひ)は瓦斯灯(くわすとう)を点(てん)す又麓(またふもと)に沿(そ)ふて渓水勢流(けいすいせいりう) して池(いけ)に入(い)る池(いけ)には諸魚水鳥(しよきよすいてう)を畜(か)ふ又傍(またかたはら)にも 清水湧(せいすいわ)き出(い)で流(なが)る実(じつ)に被(か)の構造(こうざう)は万金(まんきん)の巨額(こかく) を費(ついや)しと雖(いめ)も人間(にんげん)の築造(ちくざう)すは及(およ)ばざらんや 〇公園(こうゑん)の一松温泉浴室(ひとつまつをんせんよくしつ)より東(ひかし)に方(あた)り向山(むかふやま)に有(あ) り東下(ひかしくた)りは茶畑(ちやはたけ)なり四面群山(しめんぐんさん)の詠(なか)めもよろし き所(ところ)なり 〇湯尻(ゆしり)の種蒔桜(たねまきさくら)は浴室より東に方り僅(わつか)二丁を 過(すぎ)ず沢端(さわはた)の土提(どて)にあり種(たね)まき頃(ころ)に至(いた)れは能(よ)く 花開(はなひらく)が故(ゆへ)に種蒔桜とは号(なつけ)たり四月頃|真盛(まさか)り浴(よく) 客(きやく)も亦(また)むらがりて花見あり 〇天狗(てんぐ)の角力場(すもうば)を浴室より西北に方りて四五 丁山(てうやま)に登(のぼ)りてあり頂上(てうしやう)三四間|四方平坦(しはうたいらか)にして 一面(いつめん)に小砂(こすな)を満(みた)して草木生(さうもくおい)せず四方|松(まつ)と松と の間(あいた)にして実に角力場の名空(なむな)しからす遠望(えんばう)を 松島湾及金葉山(まつしまわんおよびきんえうさん)或は海陸(うみりく)の蒸汽船車(せうきせんしや)の通(つう)しる 等(とう)まのあたり見(み)ると頗(すこふ)るよろしき所なり