翻刻
【みん翻と無関係に作ったものを転載しているため、ふりがなと、適切な改行を欠く状態です】
と申されけれは。一休の給ひけるは聞及びしより蜷川殿は道者なりとて感ぜられける。扨四方山の物語過て親当申されけるは。少承りたき事有。邪正一所と云心得は。いかなるがよく侍るや。一休聞給ひて。わごぜは歌すきなれば。歌にて一々答へ侍らん聞給へとて。邪正一所の心を
生れては死ぬるなりけりをしなべて
しやかもだるまもねこもしやくしも
又とふ。空即是色とはいかん。こたへていわく
しら露のおのがすがたは其まゝに
紅葉におけばくれないの玉
又とふ。色即是空の心は前の歌心をかへしてみべきや。答てよめり
花を見よ色香もともにちりはてゝ
こゝろなくても春はきにけり
又とふ。仏法とはいかなる心得をよしと侍るや。答てよめり
仏法はなべのさかやき石のひげ
絵にかく竹のともずれの声
又とふ世法はいかに。こたへてよめり
よの中はくふてはこしてねておきて
さて其のちは死ぬるばかりぞ
とて一々とふことばの下に歌よみてこたへられけば。親当舌をふるはかし。聞及びしよりはたけき活僧