翻刻
【みん翻と無関係に作ったものを転載しているため、ふりがなと、適切な改行を欠く状態です】
かなと頼もしく思ひ。いよ〳〵道をしめし給はれ。いつまでかたる共。浜のまさごのかず〳〵なれば先御いとま申すとて。しおりがきのほとりまで帰りけるが。手をはたと打。帰りて一大事のあんしんわすれたり。仏はいかゞしてなりけるぞと申されければ。一休きやつはくせ物かなとおほしめし。それはいとやすき事なりとて。ふんぞりかへりて。目口をひろげてかくしく仏にはなるよとの給へば親当おどろき活大禅師かなと心空及第してこそかへりける
【一休ならの薪にて。百性の訴状書給ふ事】
『五』一休和尚ならのたき木と云所に。折々はおはしける。其辺の村々は。近衛殿の御領地にて有りけるが左近尉といふ家老。百姓をひた物せぶり取けるに。百
姓共是をなげきいかゞせんとひしめきあへり。其中の
老人申けるは。いかに百姓のあたりきつしとても。武家とははるかちがふべし御公家の長袖なれば訴申てみんとて訴状をたくみける所へ。折節一休鉢をひらきに出給ふ。百姓一休を請じ此訴状御書下されよとたのみければ。やすき事也。いかなる事ぞやとの給へばしか〳〵の事にて侍ると申されければ。長々しき状を迄も入べからず。是を持て近衛殿へ捧よとて歌よみてやらせ給ふ
よの中は月にむら雲花にかぜ
近衛殿には左近なりけり