翻刻
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ければ。此しやれかうべより外に。めでたき物はなしとて読る
にくげなき此しやれかうべあなかしこ
目出度かしくこれよりはなし
と侍り給ひて。是みよや人々目出たるあなのみ残りし
をば。めでたしといふなるぞ皆人ことにかくとはしるら
めどきのふも過し心ならひに。けふをくらしつ。あすか川
の淵瀬常ならぬ世とは。目に見ぬからに。風の音にもおと
ろかぬ人々に用心せよと思ふ也。たゞ人は是にならねば目出
度事は何もなしとの給へば。諸人是を聞て。扨もかし
こきひじりとて。おがまぬ人はなかりけり
【一休、大名に引導わたす事】
『十四』西の国の大名身まかりけるに。今はの時に申されけるは。我死して後しゆ〳〵の仏事をもつとむべからずむらさきのゝ一休禅師を請じて。引導を頼み申せ。是より外にのそみなしとて死しけり。
人々なげきて御遺言なればとて。いそぎ都へ使者をたて。一休を請じける。一休すこしもいなび給はずかの使と打つれて。むらさき野よりはる〳〵と下り給ふ。
葬礼の日限きはまりしかば。音に聞へし一休和尚社此国何がしに。御引導のためとて。御下向有しと社いふたれ国々島々より。きゝ伝ふる程の人。足を空にまどふて。きせんくんしゆしちやうもんせむとぞひしめきける。葬礼の義式。天には花をふらし。地には錦を敷。ことばにも