翻刻
【みん翻と無関係に作ったものを転載しているため、ふりがなと、適切な改行を欠く状態です】
ゑをひらき御らんじけるが。此ゑは扨もちいさく書きて。うそ黄なる衣をきせけるよと笑ひ給へば。人々申けるは。さん候いかにもけつかうに。大きにかゝせたく存候へ共。先日浄土宗法然の讃をしまん申候ゆへ。口おしく候ひて取物も取あへず。先ちくりけにかゝせて参り候。いそぎ讃して給と申せば。心得候とて。さきの法然の讃を所々なをして
伝聞日蓮活如来 伝へ聞く日蓮活如来
香座則是妙法台 香座は則ち是妙法台
尼入道同愚痴輩 尼入道愚痴の輩に同じ
一遍題目殊勝哉 一遍の題目殊勝なる哉
ぼうず〳〵小ぼうずまめの粉にぬりぼうず
と其おくにあそばしけるとかや。
其頃又やうくはん堂の住寺。黒谷の賛の由を聞て。よき寺のかうかつなると浦山敷思し召。かばかりの名僧なるに。何にがな此方にも讃を頼み申さんとて。先一山の人々をよび寄談合せられければ其中に一人申けるは。先我宗の祖師なれば。当寺に伝はりし。半金色の善導大師の画像に讃をたのまれよと申せば。各申やう。実に是は代々当寺の重物なれば。是にましたる物有まじさらば使僧に成給へとて。彼半金色の善導大師の画像をもたせ。一休へ参り申けるは。黒谷の賛のよし承り余りに浦山敷候ひて。是まで参り候也。あはれ此方の善導にも賛をあそばしてたべと申ければ。それは社やすき御用とて。かの絵をひらき一らん有。立ながら一筆さら〳〵と書給ひ。