翻刻
【ほとんどOCRのままです】
此 僧(そう)御 筆跡(ひつせき)のめでたきをみて。いよ〳〵推重申たり。
都衆と見たてまつるは。ひがめかと申ければ。よく社
見しり給へ我等は都の一休なりと仰られしかは。さてこ
そたゞの人にはあらしと。はじめより申けるはと云
もあへず。彼はい前へあげおき給ふ。御作の詩を取来
りて。御名をあそばせとこひければ。あそばしける。
さて彼僧一休なりとて。横槌にて庭はき杓
子にて芋もり。御馳走申事中〳〵いふもおろ
かなり。おりふし花のさかりなれは庭前の花をみ
給へと酒肴を出しくなぐさめ申扨後僧申ける
は。此山へ又御出なさるゝ事は。はかりがたし。末代の
宝にもなるべければ。何にても一筆あそばし給はれと
申ければ。やすき事也。御望あれとの辺へば。さても
拝殿にての御 作の詩は御自作にて候か又いにしへ
も。かゝる詩の侍りける
事にて候かと申ければ
さればいにしへより有し
事なり。もろこしの詩人
東坡居士が径山寺にて
つくりし詩にかくいへり
山僧
山鳥偸来
山雲飛片菓問
山遠路幽深片食道
山花叢茂林沈吟尋
山水碧沈樹相
山猿抱懸
山客