翻刻
【右丁上部から左丁上部】
てくだはくわんおん
のぢない【地内=境内のこと】にちや
みせをたして人を
ちやにし【茶を飲ませ休憩させる意と、馬鹿にする・利用する意の掛詞】むだの
すけは人だち
とほきところ
なればちまわり【地廻】とすかた
をやつし
けんくはを
しかけ ひけ
なてまるの
せんきを
なすおり
からにた
やまはん
くはんに
であい
いろ〳〵
あつ
かふ【「悪行」=「あくぎょう」に同じ】
し
けれ
とも
かた
なに
て
も
か
け
ざれ
ば
さて
わと
こゝろ
づく
たれ
やらが
くに
人は
ぶり
なせ
けい
せい【傾城?】は
きゝ【?】ふ
やうとは【このあたり意味不明】
よく
いゝやしたその
二ほんぼうは
人をきるの
しやアなしかへ
はなのしたへつけるのか
【右丁 下部】
てくたはちゞに
こゝろをいた
める
【左丁 中段】
ちよきぶね【猪牙舟】なん
どやかた
ぶねのおごりを
しらんこういつては
どうやらいきかとまち
かへ
そうだ
【左丁 下部】
この二さい
やろう【「二歳野郎」=年若い、未熟な男性を軽蔑していう語】め
ぶれいが
あるとては
みせぬぞ【<抜く>手は見せぬ=一太刀で切り捨てるぞ】
現代語訳
【右丁上部から左丁上部】
手管は観音の境内に茶店を出して人を茶にし(もてなしつつ騙す)、無駄之助は人里離れた遠いところなので地回りと姿をやつし、剣術を仕掛けて髭撫丸の詮議をなす折から、似た山半兵衛に出会い、いろいろ悪行をしけれども、何も手がかりが得られないので、さてはと心づく。
「誰やらが国の人は無作法だな。傾城は聞き及ぶようとは、よく言ったものだ。その二本の棒は人を切るためのものか、それとも鼻の下につけるものか」
【右丁 下部】
手管は次第に心を痛める。
【左丁 中段】
「猪牙舟などの屋形船の贅沢を知らない田舎者では、どうやら生きるか死ぬかも分からないそうだ」
【左丁 下部】
「この二歳野郎め、無礼があるとては、手は見せぬぞ(一太刀で切り捨ててやる)」
英語訳
【Right Page - Upper to Left Page - Upper】
Tekuda sets up a tea shop in the temple grounds to deceive people while serving them tea. Since Mudanosuke is in a remote place far from populated areas, he disguises himself as a local patrol and initiates swordsmanship, conducting his investigation of the Higenademaru sword. During this, he encounters Nitayama Hanbei and engages in various misdeeds, but since he cannot find any clues, he begins to suspect something.
"That person from the countryside is quite rude. They say courtesans are well-informed - how true that is. Are those two sticks for cutting people, or are they meant to be worn under the nose?"
【Right Page - Lower Section】
Tekuda gradually becomes troubled in his heart.
【Left Page - Middle Section】
"Country folk who don't know the luxury of pleasure boats like the choki-bune and houseboat seem uncertain whether they'll live or die."
【Left Page - Lower Section】
"You young fool! If you show any disrespect, I won't show mercy (I'll cut you down with one stroke)!"