翻刻!草双紙の世界

コレクション: NDL鳥居清長

富多高慢噺 3巻 - 翻刻

富多高慢噺 3巻 - ページ 13

ページ: 13

翻刻

【右丁】 よくおさむら いさまを どろぼうに しおつた ひげなてとやらかみなでとやらが あるか いめへ【「ゑ」とあるところ】ましい【「いめえましい」=「いまいましい」の変化した語】むたな   や  らう   だ むだの すけは とうざの りに つまり さん〴〵 てうちやく【打擲】に あふ 【右丁 下段】 する こと なす こと むだ のす けと なつ たか とと【「まことに」の意】 ざん ねん  だ 【左丁 上部】 ゆふにこゝろ もみたれ がみ くしの あて【櫛の当て】 なとも なま なかに【上の空に】 あふわ なみだか みづ がみを むすび あげ たる しまだ わけふたりがなかの こまくら【「小枕」=婦人の結髪用具。かもじの根につけて自髪と結合する道具】や なをして みたきもとゆいも たゞ一トすじにかみ かけて【神かけて<髪との掛詞>】こゝろの たけをいのる みやしろ 【左丁 中段】 こちの人かなら ずはやまつて くださんすな 【左丁 下段】 たしかに それと思ひの ほか やつこぶざ へいめがこゝろ   にくい   

現代語訳

【右丁】 「よくもお侍様を泥棒にしおった。髭撫でとやら髪撫でとやらがあるか。忌々しい無駄野郎だ」 無駄之助は当座の理につまり、散々打擲を受ける。 【右丁 下段】 することなすこと無駄之助となったかと、まことに残念だ。 【左丁 上部】 夕べに心も乱れ髪、櫛の当てなども上の空に、ああ涙か水か、髪を結び上げた島田髷、分け二人が中の小枕やなをして、見たき元結いもただ一筋に髪かけて(神かけて)心の丈を祈る宮代。 【左丁 中段】 「こちらの人かならず早まってくださいますな」 【左丁 下段】 確かにそれと思いのほか、奴小武左衛門が心憎い。