翻刻
【右丁 中段から下段】
ひけなての一チよふを【一丁を】くろしたてのきよい【御衣】をよす
ればすがかき【和琴の奏法の一つ】
のねいろ
をはつす【発す】ときゝ
さてはやほた大せんが
くはゐちう【懐中】にみたから【御宝】あ
りとおほへたり【覚えたり】しつたこけ
たかしんわうにむ
ほん【親王に謀反】
せう
心【「ふ」ヵ】を
にくめじ
もなん
しか
たくみ【汝がたくみ<たくらみ>】
ふつう
とも【不通ども=野暮天ども】の
ねをたつ
てはを
ちらす【根を断って葉を散らす】
る
つうも
ねへ
しよせんかなはぬ大せん
ちんしやうにもふせん
かふれ 【枕上に毛氈かぶれ:(歌舞伎で、死人になった役者を毛氈で隠して舞台を去らせるところから)失敗する。しくじる。勘当を受ける意】
【右丁 上部から左丁 上部】
こけだか
しんわうを
おた【「さ」ヵ】きに
つかひくろしたて
のきよゐをも
こつちへしてやり
六十余州【六十余りの国=日本全国の意】
をふつう
になさんと
はかり
し
こと
も
せう
ちたろう【承知太郎】
にみあら
わ
され
しか
ざんねん
や
現代語訳
【右丁 中段から下段】
卑怯な奴の一丁(身体)を黒い衣装で包むと、須賀掻き(和琴の奏法)の音色を発すると聞く。さては八幡大善の懐中に御宝があると思われた。卑怯な親王に謀反の心を抱いたのを憎らしくも、なんと汝の企みよ。無知な者どもの根を断って葉を散らす道理へ。
所詮叶わぬ大善よ、枕上に毛氈をかぶれ(失敗して退場せよ)。
【右丁 上部から左丁 上部】
卑怯な親王をお先に使い、黒い衣装もこちらへ渡してやり、
日本全国を手中に収めようと企んだことも、承知太郎に見破られてしまった。なんと残念なことよ。
英語訳
【Right page - Middle to lower section】
When the coward's body is wrapped in black robes, it's said to emit the sound of sugakaki (a koto playing technique). So it seems Hachiman Daizen had the imperial treasure in his possession. How detestable that you harbored treasonous thoughts against the cowardly prince - what a scheme yours was! Following the principle of cutting the roots to scatter the leaves of these ignorant fools.
In the end, the impossible Daizen - cover yourself with felt on your deathbed (fail and exit)!
【Right page - Upper section to left page - Upper section】
Using the cowardly prince as your advance guard, giving him the black robes as well,
Your plot to bring all of Japan under your control has also been exposed by Shochi Taro. What a regrettable turn of events!