翻刻
嬰児(ゑいじ)の苦(くるし)み父母(ふぼ)の悲(かなし)み実(まこと)に目も当(あて)べからずこの
ゆへに見点(でそろい)起脹(みつうみ)の比(ころ)其/機(きざし)をみれば是は早(はや)く手当(てあて)
せぬと変症(へんしやう)が出ると云聞(いひきか)しても未(いまだ)苦痛(くつう)せぬ先(さき)は
病家(びやうか)左程(さほど)の事とも思ず看病(かんびやう)を疎略(そりやく)にし禁忌(きんき)
を犯(おか)し穢氣(けかれ)を避(さけ)ず或(あるい)は側(そば)から種々(いろ〳〵)の名(めい)方/祈祷(きとう)
抔(など)を勧(すゝめ)時医(はやりい)が療治(りやうぢ)を誤(あやま)り其内に手おくれとなり
痘/児(じ)は死し父母/歎(なげ)き後悔(こうくわい)する者其/数(かず)をしらず