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コレクション: 養蚕の書

蚕飼養法記 - 翻刻

蚕飼養法記 - ページ 13

ページ: 13

翻刻

【右丁】  たばこなどの気(き)のあるはことの外(ほか)にわろし新き板  なりとも槇檜(まきひのき)の木香(きが)の有(ある)板(いた)はにへたる湯(ゆ)に入とくと  あわをぬき気(け)をとりて後(のち)に用(もち)ゆへし始(はじめ)て用(もち)ゆる板(いた)  はまづゑもきにてのごひて用(もちゆ)るよし 一 初度(しよど)より三日 目(め)にむしのかしらしろく成(なる)ものなり是(これ)  を髪(かみ)するといふなり。かいやうにかはる事(こと)なし扨(さて)初(しよ)日より  十日あまりして一どいとてやくなり此やくする時分(じふん)かな  らずくわの葉(は)をばくわずしてかしらを上(あげ)てやすむ也  是(これ)をいちどいといふなり是(これ)より七日ほどして二どいと  てまたやくをするなり是(これ)も右(みき)のとをりにしてやすむ 【左丁】  是(これ)より七日ほとして又(また)三 度居(どゐ)とて右(みき)のことくにやす  むこれより七日ほどしてにわいとてやくしまいなり  此(この)三 度居(とゐ)して後(のち)は桑葉(くはは)も丸葉(まるは)にて。日(ひ)にいく度(たひ)とも  なく見合(みあわせ)てまき入(いれ)〳〵飼立(かいたて)やしなふなり此(この)じふん  葉(は)をくろふおとさつ〳〵となりわたり殊外(ことのほか)せはしなく  侍(はへ)れはゆだんして桑葉(くわは)にかつやかす時(とき)はかならずまゆ  うすく風(かせ)にてちるやうに成(なり)て糸(いと)もわたもかつてす  くなくふしたちてよはし是(これ)をふわまゆともしいなまゆ  ともいふ所(ところ)によりてひんせうまゆなどゝいふもおなし事(こと)也 一 扨(さて)いちどいにかゝり申 事(こと)能々(よく〳〵)見(み)わくへしたとへは 十 疋(ひき)の内に

現代語訳

【右丁】 タバコなどの匂いがあるものは特に良くない。新しい板であっても、マキやヒノキの木の香りがある板は、煮えた湯に入れてよく泡を抜き、匂いを取ってから後に使うべきである。初めて使う板はまずヨモギで拭いてから使うのが良い。 一、初回から三日目に虫の頭が白くなるものである。これを「眠する」という。飼い方に変わりはない。さて初日から十日余りして一度目が非常に眠くなる。この眠をする時分には必ず桑の葉を食べずに頭を上げて休む。これを「一度眠」という。これより七日ほどして二度目が眠をする。これも右の通りにして休む。 【左丁】 これより七日ほどして また三度眠といって右のように休む。これより七日ほどして四度眠といって眠が最後である。 この三度眠をした後は桑葉も丸葉で、日に何度ともなく様子を見て撒き入れて飼育し養うのである。この時分は葉を食べる音がさらさらと鳴り渡り、特に忙しなく思われるので、油断して桑葉を枯らしたり不足させたりする時は、必ず繭が薄く、風で散るようになって、糸も綿も全く少なく、節が立って弱い。これを「不和繭」とも「粗い生繭」とも言う。所によって「貧相繭」などと言うのも同じことである。 一、さて一度眠にかかることをよくよく見分けるべきである。例えば十匹の内に 【右丁】 タバコなどの匂いがあるものは特に良くない。新しい板であっても、マキやヒノキの木の香りがある板は、煮えた湯に入れてよく泡を抜き、匂いを取ってから後に使うべきである。初めて使う板はまずヨモギで拭いてから使うのが良い。 一、初回から三日目に虫の頭が白くなるものである。これを「眠する」という。飼い方に変わりはない。さて初日から十日余りして一度目が非常に眠くなる。この眠をする時分には必ず桑の葉を食べずに頭を上げて休む。これを「一度眠」という。これより七日ほどして二度目が眠をする。これも右の通りにして休む。 【左丁】 これより七日ほどして また三度眠といって右のように休む。これより七日ほどして四度眠といって眠が最後である。 この三度眠をした後は桑葉も丸葉で、日に何度ともなく様子を見て撒き入れて飼育し養うのである。この時分は葉を食べる音がさらさらと鳴り渡り、特に忙しなく思われるので、油断して桑葉を枯らしたり不足させたりする時は、必ず繭が薄く、風で散るようになって、糸も綿も全く少なく、節が立って弱い。これを「不和繭」とも「粗い生繭」とも言う。所によって「貧相繭」などと言うのも同じことである。 一、さて一度眠にかかることをよくよく見分けるべきである。例えば十匹の内に

英語訳

【Right page】 Things with odors like tobacco are particularly bad. Even if it is a new board, boards with the fragrance of maki or hinoki wood should be put in boiling water to remove bubbles well and eliminate the scent before use. Boards used for the first time should first be wiped with mugwort before use. First, on the third day from the initial stage, the insects' heads turn white. This is called "sleeping" (molting). There is no change in the rearing method. Now, from the first day, after more than ten days, they become very sleepy for the first time. During this sleeping period, they definitely do not eat mulberry leaves but raise their heads and rest. This is called the "first sleep." About seven days later, they sleep for the second time. This is also done in the same manner as described above. 【Left page】 About seven days later, there is the "third sleep," and they rest as described above. About seven days after this comes the "fourth sleep," which is the final sleep. After this third sleep, whole mulberry leaves are used, and one should check on them countless times per day, scattering leaves and raising and nurturing them. During this period, the sound of eating leaves rustles constantly, seeming particularly busy, so if one becomes careless and lets the mulberry leaves wither or run short, the cocoons will inevitably become thin, scatter in the wind, with very little silk or cotton, full of knots and weak. This is called "poor cocoons" or "coarse raw cocoons." In some places, they are called "inferior cocoons," which means the same thing. First, one should carefully observe when they enter the first sleep. For example, among ten insects...