翻刻
【右丁】
なほにして。すぐ(直)に その(其)ほんみや(本名)うを もち(用)うるなり。老楓(らうふう)
病(びやう)は。へん(編)しゆう(終)いつしやう(一章)に。かみ(上)四(よつ)しも(下)三(みつ)を もちう(用)るなり。
中飽病(ちうはうびやう)は。三十五六 字(じ)あるうたをいふ。後悔病(こうくわいびやう)は。ふうせい(風情)
なくて。のち(後)に。くやむ(悔)となり。
七 病(びやう)とは。頭尾病(つびびやう)。胸尾病(きようびひやう)。膊尾病(はくびびやう)。靨子病(ゑふしびやう)。遊風病(いうふうひやう)。声(せい)
韻病(いんびやう)。遍身病(へんしんびやう)。をいふなり。頭尾病(つびびやう)とは。ほつく(発句)のをはり(終)と。
第二句(だいにく)の をはり(終)と。おなじ(同)きなり。胸尾病(きようびびやう)とは。ほつく(発句)の
をはり(終)。第二句の上(かみ)六字。おなじ(同)きなり。膊尾病(はくびびやう)《割書:膊一 ̄ニ|作_レ膞》
《割書:又。作_レ■【注】膊匹各反。|膞音転。》は。た(他)の く(句)の をはり(終)と。ほんいん(本韻)と おなし(同)き
なり。第三句の をはり(終)と ほんいん(本韻)なり。靨子病(ゑふしびやう)は。又
句の うち(中)。ほんいん(本韻)しも(下)に同字(どうじ)あるなり。遊風病(いうふうひやう)は。一
【左丁】
句(く)の うち(中)の じ(字)と。をはり(終)の じ(字)と おなじ(同)きなり。声韻病(せいいんびやう)
は。二韻(にいん)同字(どうじ)なり。遍身(へんしん)病は。二韻(にいん)の うち(中)。本韻(ほんいん)二字以
上を のぞき(除)。同字(どうし)あるをいふなり。
四家式(しかのしき)とは。歌経標式(かけいひやうしき)《割書:参議藤原浜成|勅を奉て作る》喜撰作式(きせんさくしき)《割書:喜撰勅を奉て|作る》
孫姫式(まごひめかしき)《割書:有序》石見女式(いはみめかしき)《割書:是は安部の清行か|式と同物なりや》この よくさ(四種)の ふみ(書)をいふ
となり
哥合(うたあはせ)といふことあり。その(其)しだい(次第)は。先(まづ)刻限(こくげん)に大殿已下(おほとのよりしもつかた)公卿(くぎやう)十余(とをあまり)
奉着座(おましにつきたまふ) 次(つぎに)立切灯台(みあかしをたつ) 敷菅円座(わらふざをしく) 次(つぎに)置左右文台(ひだりみきりのふつくゑをおく) 次(つきに)左(ひだり)
右(みぎり)参上(まいりたまふ) 次(つきに)召講師(かうしめす) 次(つきに)歌評定(うたのしなさだめ) 人々進寄(ひと〴〵すゝみよる) 次(つきに)花哥七番講畢(はなのうたなゝつがひよみをはる)
公卿膳坏酌(くぎやうのかしはでかはしけむ) 汁物(しるのもの) 高坏物(たかつきのもの) 次(つきに)郭公哥(ほとゝきすのうた) 次(つきに)勧盃(かはらけまいる) 公卿可取之(くぎやうとりたまふ)
次(つぎに)月雪祝哥(つきゆきいわふうた) 判畢(はんをはる) 次(つぎに)諸大夫置管絃具(しよたいふいとたけの▢▢▢をおく) 次(つきに)呂律曲(りよりちのごく) 次(つきに)有禄(ろくあり)
【注 「𨍭」か「轉」と思われる。】