翻刻
【右丁】
よ(▢(世ヵ))に かしこ(賢)き とこ(徳)【ママ】を たもち(有)て。もろひと(諸人)にたうと(尊)び。うや(敬)
まはるゝ をんな(女)を。徳子(とくし)。藤子(とうし)。といふ。徳子(とくし)といふ ひと(人)は。内大臣(うちのおとゞ)
秀房(ひでふさ)のむすめにて。太宰大弐(だざいのたいに)大内義隆(おふちよしたか)の つま(室)となりたまふ。
けんとこ(賢徳)あるよし。和論語(わろんご)に見 ̄エ たり。おなじ ふみ(書)に。藤子(とうし)と
いふは。藤原政長(ふぢはらのまさなが)のむすめなりけるが。京極高次(きやうごくたかつぐ)なるひとの つ(室)
まに。そな(備)はりたまへりしとなん。これも かし(賢)こき ざえ(才)ありて。か(芳)
ふばしき ほまれ(誉)。ひと(人)にすぐれたまふとなん。かい(書)つけられたり。
孝婦(けうふ)
孝(▢う)はよろづ おこな(行)ふみちの。もとなめれ。あさ(朝)なゆふなに。ちゝ(父)
はゝ(母)を うや(敬)まひて つか(事)ふるは。ひと(人)の とり(鳥)けだ(獣)ものに こと(異)なる
ゆゑ(所以)なりとぞ。いにしへ(古)より。ひと(人)のよくしれる孝婦(けうふ)は。
【左丁】
兄媛(えひめ)《割書:応神天皇の|御代の人》佐紀民直(さきのたみのあたひ)の女(むすめ)《割書:大和国添|下郡の人》波自采女(はじのうねへ)《割書:対馬島|の人》難波部安良(なにはへのやすら)
売(め)《割書:筑前|の人》橘氏(きつし)妙仲(めうちう)《割書:逸勢|の女》福依売(ふくよめ)《割書:薩州|の人》衣縫造(きぬぬひのみやつこ)金継(かなつぐ)の女(むすめ)。■(みち)南(みなみ)築(つく)
紫(し)の女(むすめ) 舞女(まひひめ)微明(みめう) 周防内侍(すはうのないし) 狭白(けふはく)《割書:若狭|の人》 熱田縁采女(あつたのえんねべ) 照田(てるたの)
姫(ひめ) 千世能姫(ちよのひめ)などをいふめれ。ふるき ふみ(書)の。まき(巻)〳〵に見へたり
女中(ぢよちうの)学者(がくしや)
すがた(姿)かたち(容)はさらなり。いみ(美)じき ざえ(才)ありて。から(韓)のやまと(大和)
の ふみ(書)の まき(巻)〳〵を。ひね(終日)もす よみ(読)つゝ。いに(古)しへ いま(今)を かうが(考)へて。
その こと(理)はりを。わき(弁)まへん をんな(女)は。もろこ(唐土)しにもおほから
ぬに。まいて この(此)くに(方)ゝは。ふみ(書)まなぶ をんな(女)といふものは。なく(無)
てありぬべくなど おも(思)ふ。ならはしなるめれといふも。ひた(一向)ふる
の おろか(愚)なるかたにや。もろこ(唐土)しの班婕妤(はんせふいよ)。《割書:班汎|の女》班昭(はんしやう)《割書:班固|の妹》蔡文姫(さいぶんき)