翻刻!草双紙の世界

コレクション: NDL鳥居清長

大通其面影 2巻 - 翻刻

大通其面影 2巻 - ページ 10

ページ: 10

翻刻

それより京おうは日もくれければ やどをかりんと百せうやへ たのみければふうふ よろこびぶつじ のあるゆへ きやうおう たづねければ だん〳〵もの がたりをはじめけり それよりぶつ だんに むかい かいみやうを みるに山もと氏おかつと【「と」は衍字?】 とあり京おう大きにおどろき さめらぬていにてよのあくるをまち そう〳〵江戸へかへりいんぐわはめぐる くるまのわなりあらおそろしやと いよ〳〵 ぶつくわを【仏果を】 なしけり 京扇おもふよう はきよねん かつ山を てにかけしも 月日もけふ にあたりける はてふしぎ なことだ 【左ページ左上、かすれている】 ふうふはそれと しらず六ぶを とめいろ〳〵 ちそうし ゑ かうを たのむ

現代語訳

それから京扇は日も暮れたので宿を借りようと百姓家へ頼んだところ、夫婦は喜んで受け入れた。仏事があるので、京扇について尋ねると、だんだんと物語を始めた。 それから仏壇に向かい、戒名を見ると「山本氏お勝」とあった。京扇は大いに驚き、眠れない様子で夜が明けるのを待ち、急いで江戸へ帰った。因果は巡る車の輪のように、なんと恐ろしいことよと、ますます仏道修行を積んだ。 京扇が思うには「去年勝山を殺したのも、月日も今日にあたっている。はて不思議なことだ」 夫婦はそれとは知らず、六部(巡礼僧)を泊めて、いろいろともてなし、供養を頼んだ。