翻刻
渋帋へ薄く廣け二日程不しごさたてへ
入置べし/商賣(阿きない)繭尓春る尓はかわこ抔へ入
置も宜し糸尓とる心かけならば/蓙(こさ)たて
二入七月中旬まては十日置尓半日位干
扁し斯せざ連ば/醭(かび)出るか又は/蠧(志み)なと
付もの也尤干度毎尓天日の気をさまし
/貯(たくばい)置べし日の気を/籠(こめ)置たるは糸取
節尓至りてあし
附満ぶしへ入た累日より十二三日も雨天
抔續て干か年㝡早/蛹(ぬし)の出る程尓成は
内庭へ箱爐深壱尺五寸程長五尺幅三
尺位何連繭を入る/障子(い連もの)尓向ひ/堅(かた)炭
を/別爐(へつろ)尓てお古し置右の板かこい/際(きわ)
通りは土尓て目塗りを那しそれへ
/蛹(まゆのむし)
現代語訳
渋紙へ薄く広げ、二日程動かさずにそのまま入れ置くべし。商売用の繭にするには、かわご(籠)などへ入れ置くも宜し。糸に取る心がけならば、ござ立てに入れ、七月中旬までは十日置きに半日位干すべし。こうしなければ黴が出るか又は虫などが付くものなり。もっとも干すたび毎に天日の気を冷まし、貯蔵しておくべし。日の気を籠めて置いたるは糸取りの
節に至りて悪し。
付け足し:まぶしへ入れた日より十二三日も雨天などが続いて干すことができず、最早蛹が出る程になれば、内庭へ箱炉を作る。深さ一尺五寸程、長さ五尺、幅三尺位、何でも繭を入れる入れ物に向かい、堅炭を別炉にて熾して置く。右の板囲いの際通りは土にて目塗りをなし、それへ
蛹(まゆの虫)