翻刻
見分に見廻り夫に付参候御右筆衆咄也
一西之丸下松平左近将監殿本多伊予守殿門前
是も頓て水御堀と一ツに成り腰丈の由風聞也
大久保佐渡守殿門前は又すくなきよし
一小日向筋の橋之分は不残押破たる也
一小日向津久戸明神の下小林三次郎乾新太郎
山田吉左衛門屋敷なとへは水家の軒際迄来り
たり床の上八尺の余水上りたり根岸又兵衛
窪田弥助なと同断右辺の庇の屋根木戸門
なとの屋根上抔に流たる水こみの跡有すくも
わら抔よし垣の上家根に見へたり馬場辺も大方
同断の水の高サ也桜井九右衛門屋敷の辺同断也
見廻り見物したり小日向辺の有様火事と違ひ
目も当られぬ躰也水二日夜に入夜更ゟそろり〳〵
と引夜明方とは大かた水引たる由三日には天気
上りたり三日晩方小日向筋へ見廻て見物したる
なりあそこ爰に屏打かへり又はよし垣破れ
下水いまた充満して殊外いや成匂ひして