翻刻
藁ふき抔はむね開て舟の如くに成り大川
の方へ人乗なから流れ行くも有其中に四斗樽
を浮きにして女の取つき来る有此女水辺にて
生れなり心有けるか昌平橋辺にて水の浅みへ
おし上りたり其桶の内に五歳と三歳に成る
子を入れて扶けたり女のきてん比類なき働也
女にても水を得たる徳也又居風呂桶に親と
見えし老女を入れ縄にて背負ひ来る男水道
橋辺にて縄きれけれは男桶に取付んとすれ共水強
けれは浮つ沈つ取付得す桶の内の老女立て外を
みんとすると其まゝ居風呂桶横になり老女も桶
も男も放れ〳〵に成て流れ行たる也
一西古川町の川端の素麺屋所の大屋なるか店の
もの十人斗かや家根へ上り流るそうめん棹を棹
にして牛天神の方へ横切に押助りたり能き働也
一関口水道町に能稽古舞台有其所に居ける
か夫は番にて留守女房と母親と男子二人と居ける
か水来ると其侭先舞台え上りける舞台へも