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コレクション: STAGE4

享保十三年江戸洪水記 - 翻刻

享保十三年江戸洪水記 - ページ 16

ページ: 16

翻刻

 水上る故鏡の間に長持有ける其上へ上る猶又水上  れは女房三歳に成る子を懐に入れ戸の桟をふまへ  登上り梁に取付母親は五ツに成子をいたき我  身は是非なし此子を助けて呉よといへは女房最  早是非なき時節其子を捨て母さま爰への  ほり給へといひける其内に長持浮上りひつくり  かへり母と五歳の男子めの前に溺死せり 女房は  梁際迄水押上ケ最早うつゝとも助く人心はなくつ  かれ是非なく三ツに成る子も落しけるか二枚屏風の    水に浮たる其上へ落夫御番より帰りけれと水高く  我家に寄付れす漸二日夜八ツ時帰り着右之有様  見て嘆く女房の半死に成りたるを梁よりひき  おろす屏風の上なる子も片息に成て居たり  妻と三歳に成る子を漸療治して生たり母と  五歳の子と目前に死居たり去共死骸流れ行  すして有けるをせめての事と嘆きけり 一牛込市兵衛雁木の川端の屋敷抔は軒際迄  水来る大かた瓦家根を内より打破りやねへ