翻刻
歓取上置材木共流来るを引上〳〵する内に
黒き大きなる箱流来て引上る其間に水
夥敷増来る故皆屋敷の内へ逃込たれとも
水段々増家内へ水押上る故松庵叶わず
とや思ひけん皆土蔵の二階へ上りたれ共水二
階の上まて押来るされ共二階高けれは丈は水
八寸程にて漸命助りたり水段々引けれは彼の
蔵の二階ゟおりたるに松庵十八番目におりたり
其跡に下女壱人おりる時に土蔵北のかたへ打
返りたり下女南の方戸前出る時に土蔵倒
れたる故口の鴨居にて下女の額をしたゝかに
打破りぬ今少し早く蔵倒れたらは大勢の内
にあやまち有へきに是等は時の仕合とや申へき
命から〳〵の仕合なり右取集メたる箱も材木
も不残いつくともなく流失たりし民川
源七咄也
一三宅弥一郎曽我七兵衛平岩全左衛門蜂屋
五郎兵衛何も家根を破り命から〳〵の躰