翻刻
高み迄押上西の方は一丈二尺の水着小石川御門
の西の土手ゟ堀端の屋敷軒限海の如くの
よし駿河台土手の上小石川御門土手の上ゟ
見たる人の咄也
一近山清右衛門といふ仁小日向堀向に居られ候所に
大水押来り取物も取あへす急き退られ
けるに内方を乗物にて出されしに水大に増
来り彼乗物共に押流され行き下のかた斎藤
頼母内の内江なかれかゝるを頼母家来引上
其儘屋根へ揚候内に清右衛門も家来も漸来
りともに頼母屋根にて念仏申て夜を
あかし命助りたりと承り候安藤若狭守殿
咄也扨々心細き助り様なり
一小日向久永丹波守殿屋敷一入水高く押入候
急に水来る故丹州駕籠にて出られんと頃か
内に水嵩増り六尺を呼間も心元なく中小
性共乗物を舁て外へ出したる所表ははや
大水に成り乗物をさしあけ命から〳〵