翻刻
ふた二重家にして長持の内に置れしかと
長持の内へ水一はいり入二重家の茶入の壷の
内へも水一はい入たると承り何も我を折申候
事共也
一今度の水はみな軒口まて一はい二階の上迄
来り候故米大豆なと水入ゆへに立不申候十三
俵にて根岸又兵衛金弐分に払はれたりと
根岸三左衛門物語也桜井九右衛門抔は一俵
に付百文宛に払はれ候と是は又咄にて聞申候
みな其くらゐなり夫も外之者は買不申候糀屋か
調へ申由承り候右之米にて糀作り候て来年は味
噌替り可申候大豆抔は一升売之沙汰承るに
一升二銭三銭に売る由に候米も豆もふやけ
米なとはほろ〳〵と成候由に候壁物なとも大
かたはたいていの堅地はみなはけ候よし何もかも
中へ水通し候故二重三重の箱の内えさへ水
入候皆泥水にて刀脇差の鞘の内へもとろ
水一盃入直にさび候由也大かた鞘われ候由