翻刻
日やらん大勢の人は死家はみちんに成り或は
流れ財宝は水にとられ漸命助かりしを
神仏の御蔭と難有かりぬ残りたる家々の
内なとを見るに壁は落々残りしは棚斗なり
二三十年も過たる辻堂なとのこはれたるを
見る如くに成たり中々きのふ水にて破れたる
家をは見らすこけら屋蠣から昔の家は水に
流しにやね打かへりたる由依之やねに
乗たる人皆打返り〳〵ては人多く死候由また
萱葺はやねにかやを不立候故かつしやに斗故か
流れ候時やねひくき板の如くに成かやふきに
乗流たる者はあそこ爰にて引懸助りたるも
あり又午込ゟ小石川御門の土手の高みに人
あつまり長棹なと出し夫に取付助りたるも
あり又駿河台の土手の高みゟ大縄を投
出し又は爰にても棹を出し夫に取付助り候由
坂倉作たと申奥御右筆小石川の土手の
上ゟ長棹を出し人五人乗て萱家の流来るを