翻刻
是に取付とて助けたる由作左衛門直に物語也また
堀内宇左衛門も龍慶橋川向椎の木の隣にて宇
右衛門親類の前江見舞是もかやふきに二人乗て
流来るを見て折ふし水かさ増彼家東の方へ
なかれ寄たる間やれ助けよとてしよれんを出し是
に取着とて出されけれは野郎其しよれんに取
着助り申候今壱人はやね二ツにわれて行方
知れす流れ行たりあのものはと野郎に
尋られしにあれは親也と死顔に成りて
いえり不便千万なる事と宇右衛門物語也
其流れゆく者幾百とも不知由也凡人の死
たるは中々千人なとゝいふ事は有間敷と風聞也
いまた流れ水死の慥なる積りは不知也
一此水の発るゝ元なくては来ましとの風聞也
今度新田の故なりと評判也下総国に飯沼
とて古来ゟ沼あり此沼竪七八里横三里
程の沼たり此沼を新田に取立れは凡七八万石
に成候よし也江戸赤坂の溜池なとの如くに