翻刻
九ツ時分に見候に表の井水迄五尺計裏の
井六尺計に水増たり終に不覚事也か様の
事にても候也今度の大水は押水計にても
無之候地ゟ涌出たることを何してはわき出たると
いふも道理也
一九月二日には江戸中の高き所は大分ひゆへ
打人多死候由承る先公儀御入用之懸り候所
は大小をうけ八百三十ケ所有之と鈴木伊勢守
物語也第一紅葉山下大分崩申候大方御入用
一万両計懸り可申との風説也吹上之内にも方々
大分崩候よし是は早々取附候由にて御普
請始り申候代官町土手清水御門の折廻し
の所先年くえ候よりは大崩にて御堀の内へ
大木石垣芝共に打込すさましき体なり
夫ゟ飯田町之方へ田安御門の際迄は大小二三
十ケ所も崩れたり夫より糀町之方え見通し
夥敷くえやう也先年大地震の時よりは
数ケ所多く見へたり其外数しらさるなり