翻刻
を捨る事有可心得事也
一麻布狸穴に加藤助五郎といふ人有元火之番に
て只今は小普請也少身なる仁也此人まみ穴の谷
底に屋敷有又松平源之進屋敷道を隔て
大山の上に有九月二日昼右源之進屋敷の山
崩助五郎家へ打込家は土の下に成りみちんに
潰たり家の内に助五郎内儀と十四歳なる
男子九歳に成る次男并に内儀の親此間ゟ
見廻に来て逗留して居たりし其人も
みぢんに成死たり死骸を翌日へかけて堀出
たり以上四人内室懐胎の由也是共には五人也
助五郎外へ出てくね垣見廻り候内也是も余程
土に打れたれとも無恙也外に居たる故也家
の内に今少し居たらは死て跡も絶へきに命
つよき仁也乍去舅内儀十四と九歳との男
子とを殺し生甲斐もなき仕合なり家
はみちんに潰れ是もよく〳〵因果なる仁也
家来二人助り申候茶の間に居たりしか是も弐