翻刻
人共に土中に成たれとも首より上え土かゝらぬ
故に其侭堀出し命助りし由下男壱人なり
助五郎と三人助りたり右舅は折節雪隠
へゆき居なから打ころされたりといえり
右之物語は神谷市郎右衛門と申富士見御宝
蔵番之頭近辺にて能被存候とや市郎右衛門
咄也又払方同心藤三郎と申者も同様に咄申候
藤三郎申候は客仁の雪隠え被参といふ義は
不承と申候是は与力の隠居にて八十斗の人
の由菅沼苗字の人也と藤三郎語れり無
慙なる咄なり時節とは乍言口惜き死様也
常に信心第一也此人常の行跡不知といへとも
慈悲の家には有さりもなき事也
一払方御納戸町長円寺の谷に払方御納戸
同心四五人居れる内に杉山弥助山本十助屋
敷の後隣に桑山権左衛門と申御先手頭
崖の上に屋敷有高サ弐丈斗右の崖くへ
十助屋敷江崩懸り町家みちんに成たり