東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 3

唐詩選画本, [二編]5巻 - 翻刻

唐詩選画本, [二編]5巻 - ページ 55

ページ: 55

翻刻

【挿絵】 少年行(せうねんかう)   王維(おうい) 出身(しゆつしん)仕(つかふ)_レ漢(かんに) 羽林郎(うりんらう)初(はしめ) 隨(したかつて)_二驃騎(ひやうきに)_一戦(たゝかふ)_二 漁陽(きよやうに)_一孰知(たれかしらん) 不(さる事を)_下向(むかつて)_二辺庭(へんていに)_一 苦(くるしま)_上縱死猶(たとへしすともなを) 聞(きかん)_二俠骨香(きようこつのかうはしきを)_一 しゆつしんとは名目(めいもく)文字(もんじ)なり おやなとのうちしに【討死】した子ともをは うりんらうにしてめしいたしぶ げいなとをたしなませる事じや われもせうねんのころよりうりん のぶくわんにめしたされててうてい につかへていたはじめひやうきせうくん なとゝいふやうな大将にしたかつて 一トいくさしてきたである◦わきか ら人が見たならば漁陽(きよやう)あたりでさぞ せひをつくしかつせんしつらふとおもふがお れはいのちすてゝたゝかひはせぬ夷(ゑひす)を 相手(あいて)にいのちはすてぬたとへしすとも 都(みやこ)て我壱人(われひとり)といはるゝほどにこうを たてゝしゝても骨(ほね)迄/香(こうばし)い名(な)のた つほどてなけれはおもしろくない

現代語訳

【挿絵】 少年行 王維 身を出だして漢に仕う羽林郎の初め 驃騎に随がって漁陽に戦う 誰か知らん辺庭に向かわざることを 苦しまず 縦え死すとも猶お聞かん俠骨の香しきを 「出身」とは名目・文字のことである。親などが討ち死にした子どもを羽林郎にして召し抱え、武芸などを嗜ませることである。我も少年の頃より羽林の武官に召し使われて朝廷に仕えていた。初め驃騎将軍などという大将に従って一戦してきたのである。傍から人が見たならば漁陽あたりでさぞ是非を尽くし合戦したろうと思うが、俺は命を捨てて戦いはしない。夷狄を相手に命は捨てない。たとえ死んでも都で我一人と言われるほどに功を立てて、死しても骨まで香ばしい名の立つほどでなければ面白くない。

英語訳

【Illustration】 Song of Youth - Wang Wei From humble birth serving the Han as a Yulin Guard initially, Following the General of Swift Cavalry to battle at Yuyang. Who knows that I do not go toward the frontier courts? I do not suffer - even if I die, I would still hear of the fragrant chivalrous bones. "Chushen" (humble birth) refers to one's background and status. Children whose parents died in battle are made Yulin Guards and taken into service, where they are trained in martial arts and such. I too, from my youth, was employed as a Yulin military official serving the imperial court. Initially I followed generals like the General of Swift Cavalry into battle. If people were to observe from the sidelines, they would think I fought desperately around Yuyang, but I do not fight by throwing away my life. I will not waste my life against barbarian enemies. Even if I were to die, unless I achieve such merit that I would be called unparalleled in the capital, and unless my name becomes so fragrant that even my bones are renowned after death, it would not be worthwhile.