東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 3

唐詩選画本, [二編]5巻 - 翻刻

唐詩選画本, [二編]5巻 - ページ 66

ページ: 66

翻刻

   西亭春望(せいていのしゆんほう)    賈至(かし) 日長風暖柳青々(ひなかくかせあたゝかにしてやなきせい〳〵)北雁帰飛(ほくかんきひして)入(いる)_二窅冥(ようめいに)_一 岳陽城上(かくやうしやうしやう)聞(きく)_二吹笛(すいてきを)_一能(よく)使(して)_二春心(しゆんしんを)_一満(みたしむ)_二洞庭(とうていに)_一 はるのあたゝかなしぶんゆへ柳もせい〳〵とめさしてかりかねもきたへかへるをはやはるもすへなれはかりも とびつきてはてもないおゝそらにいりこきやうへおとつれもならぬとみやこの事をおもふている ◦この春心(しゆんしん)のうちにはなにやかやこめてある左遷(させん)の事も春(はる)をいたみかなしむ事もこもりある也たゝさへに こゝろあしいに笛(ふゑ)をきけはうれいをひきおこしはるをかんする心をして満(みつ)_二洞庭(とうていに)_一とこもかもうれいになつた 【挿絵】

現代語訳

西亭春望(西亭での春の眺望) 賈至 日は長く風は暖かで柳は青々とし、北の雁が帰り飛んで遥か遠い空に入っていく。 岳陽城上で笛の音を聞くと、よく春への思いを洞庭湖に満たすことができる。 春の暖かい季節なので柳も青々と芽吹いて、雁も北へ帰っていく。もう春も終わりなので雁も飛び立って果てもない大空に入っていく。故郷への便りも届かないと都のことを思っている。 この春心(春を思う心)の中には何やかやと込められている。左遷のことも春を惜しみ悲しむことも込められている。ただでさえ心が晴れないのに笛を聞くと憂いを引き起こし、春を感じる心で洞庭湖を満たすと、ここもかしこも憂いになった。 【挿絵】

英語訳

Spring View from the Western Pavilion - by Jia Zhi The days are long and the wind warm, willows verdant green; northern geese return flying into the distant void. Atop Yueyang Castle, hearing the flute played, it can well fill Dongting Lake with springtime feelings. Because of the warm spring season, the willows also bud verdantly green, and the wild geese return north. Since spring is already ending, the geese also take flight into the endless vast sky. With no news from home, one thinks of the capital. Within this "spring heart" (feelings for spring) various things are contained. Thoughts of demotion and the sorrow of lamenting spring are also included. When one's heart is already heavy, hearing the flute stirs up melancholy, and when spring-sensing feelings fill Dongting Lake, everywhere becomes filled with sorrow. [Illustration]