翻刻
天保(てんほ)七|申年(さるとし)の凶荒(きようくわう)は殊(こと)に
甚(はなはだ)しく餓莩所〻(がひやうところ〳〵)に横(よこたは)れり
其時親(そのときした)しく見(み)たる人の
話(はなし)に吾尾張国愛知郡(わがをはりのくにあいちごほり)
五女子村(ごじよしむら)なる佐屋海道(さやかいだう)に
旅人(りよじん)の斃(たふ)れ其連(そのつれ)の者(もの)も
飢(うゑ)つかれて土砂(どしや)の乾(かはき)ける
を取(と)り塵(ちり)を吹去(ふきさ)りて
食(しよく)せしといへり哀(あはれ)なる
事(こと)どもなり