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れハ力なし然とも能〻案し見給へ此子をは誰か
育はこくみ申へし若此子を連行んと有事は
叶ふましといへは夫は仰迄もなし身に替かたき
子に別るゝかなしさはいか計是に残し置共
夫の御世話なく成長仕やふに致すへしと少き玉
を取出し子に与へ是さへあらば無事に育つ御気遣
有ましと云て名残おしけに涙に暮て立出んとす流
石ニ日比の情よしや大蛇なりとも今の別堪えかたく
いかに縁尽たりと宣ふとも帰すましといへは御志ハ嬉
しく存候へとも御縁尽ぬる上に強て留メ給ハヽ御為
よろしかるましくと泣〻出行ハ跡打やめよしなき
事をして正体を見られ出行我も蛇体を見て斯
別れけりと忙然としてあきれ居たり小児ハ帯に
玉をねふり夜るは玉を抱きて臥別に喰をも求め
す母をも尋ねず玄順他出すれは近所の小児と遊ひ
戯れて少も邪魔ともならず二ツの子の一を聞て十を
さとり十歳にも越たる人に勝れり
一此近所に弥三右衛門といふ百姓あり天晴邪智深く欲に
眼見えす無法の悪もの成しか十月始普賢山の方
へ用事あつて行けるか十七八計の女壱人行を見れは
其あてやかさ只ならさる粧ひ是ハふしき成人よと
思ひ御方様ハ何国よりいつ方へ渡らせ給ふと尋れは