東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 7 増補頭書訓蒙図彙大成

増補頭書訓蒙図彙大成 10巻 10:巻之21 - 翻刻

増補頭書訓蒙図彙大成 10巻 10:巻之21 - ページ 14

ページ: 14

翻刻

【右丁 上段】 ○琴(こと)は伏羲(ふつき)の作(つく)り始(はじ) ̄メ 給ふ五十 弦(けん)又廿五 弦(けん)あり 瑟(しつ)といふ楽器(がくき)に用(もちゆる)を 和琴(わごん)といふ又 世(よ)に翫(もてあそ)べる 十三 弦(けん)の琴(こと)をつくし 琴といふ音曲(おんぎよく)しらべ上手(じやうず) 多(おゝ)くあり ○香(かう)は清浄(せうじやう)潔白(けつはく)の徳(とく) ある物(もの)にて穢(けがれ)をさくる 故(ゆへ)に神前(しんぜん)仏前(ぶつせん)にて焼(たく) なりその香(か)遠(とをき)きにいたる 伽羅(きやら)は水(みづ)に入てしづむ也 よつて沈香(ぢんかう)といふ唐土(もろこし) よりきたる 【左丁 上段】 ○鞠(まり)は唐土(もろこし)女媧(ぢよくは)氏(し)の 代(よ)に逆臣(ぎやくしん)蚩尤(しゆう)といふ 者(もの)謀叛(むほん)を企(くわだて)軍(いくさ)に及(および) しが女媧子(ぢよくはし)は女帝(によてい)なが ら聖徳(せいとく)あれば万民(ばんみん)な びき従(したが)ひ終(つい)に蚩尤(しゆう)を 討(うち)亡(ほろぼ)し給ひ其(その)頭(かうべ)をは ねたり諸人(しよにん)蚩尤(しゆう)を悪(にく) みて頭(かしら)を蹴(け)たり是(これ)鞠(まり) の始(はじめ)とかや鞠のかゝりは 松(まつ)楓(かへで)柳(やなぎ)桜(さくら)の四本を植(うゆ) るなり飛鳥井(あすかゐ)家(け)難波(なんば) 家(け)鞠(まり)の御 家(いゑ)なり上が 茂(も)社家(しやけ)松下(まつした)一 流(りう)あり 【右丁 下段挿絵】 琴(こと) 香(かう) 【左丁 下段挿絵】 【「新」の記載あるか】 蹴鞠(しうきく)

現代語訳

【右丁 上段】 ○琴は伏羲が作り始めたものである。五十弦、また二十五弦があり、瑟という楽器に用いるものを和琴という。また世間で楽しまれている十三弦の琴を筑紫琴という。音曲の調べが上手な人が多くいる。 ○香は清浄潔白の徳がある物で、穢れを避けるため神前・仏前で焚く。その香りは遠くまで届く。伽羅は水に入れると沈むので、沈香という。中国から来たものである。 【左丁 上段】 ○鞠は中国の女媧氏の時代に、逆臣蚩尤という者が謀反を企て戦争に及んだが、女媧子は女帝でありながら聖徳があったので万民がなびき従い、ついに蚩尤を討ち滅ぼし、その首をはねた。諸人は蚩尤を憎んでその頭を蹴った。これが鞠の始まりだという。鞠の懸かりは松・楓・柳・桜の四本を植えるのである。飛鳥井家・難波家は鞠の御家である。上賀茂社家・松下一流がある。 【右丁 下段挿絵】 琴 香 【左丁 下段挿絵】 蹴鞠

英語訳

【Right Page Upper Section】 ○The koto (Japanese zither) was first created by Fuxi. There are fifty-string and twenty-five string versions, and the instrument called "shitsu" used in music is called "wagon." The thirteen-string koto enjoyed by people in society is called "tsukushi-goto." There are many people skilled in musical performance. ○Incense possesses the virtues of purity and cleanliness, and is burned before shrines and Buddhist altars to ward off defilement. Its fragrance reaches far distances. Kyara (aloeswood) sinks when placed in water, hence it is called "jinkō" (sinking incense). It comes from China. 【Left Page Upper Section】 ○Kemari (kickball) originated in China during the time of Empress Nüwa, when a rebellious retainer named Chiyou plotted rebellion and started a war. Although Nüwa was a female emperor, she possessed sacred virtue, so all the people followed her, and she finally defeated and destroyed Chiyou, beheading him. The people hated Chiyou and kicked his head. This is said to be the beginning of kemari. The kemari court requires planting four trees: pine, maple, willow, and cherry. The Asukai and Namba families are the imperial houses of kemari. There are also the Kamigamo shrine family and the Matsushita school. 【Right Page Lower Section Illustrations】 Koto Incense 【Left Page Lower Section Illustrations】 Kemari (Kickball)