東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 7 増補頭書訓蒙図彙大成

増補頭書訓蒙図彙大成 10巻 10:巻之21 - 翻刻

増補頭書訓蒙図彙大成 10巻 10:巻之21 - ページ 21

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翻刻

【右丁 上段】 ○狂言(きやうげん)はそのはじまり つまびらかならずのふ の間へ入る事は気(き)を 転(てん)じて笑(わらひ)をもよふす べきためなるべし能(のふ)と 同じく流義(りうぎ)のわかち ありて少しのかわり有 又 狂言(きやうげん)のうちに伝授(でんじゆ) とするものありそれ 狂言の本意(ほんい)は狂戯(きやうけ)を 専(せん)として人の心をなぐ さめわらひをおこす事 を要としたるものなり とかや 【左丁 上段】 ○浄留理(じやうるり)は小野(をのゝ)お通(づう) に始(はじま)るお通(づう)は信長公(のぶながこう)の 侍女(しじよ)なり参州(さんしう)矢作(やはぎ) 浄留理(じやうるり)女(むすめ)が事(こと)を作(つく)る 岩船(いわふね)検校(けんげう)ふしを付(つけ)て 是(これ)を浄留理(じやうるり)といへり 其後(そのゝち)瀧野(たきの)沢角(さはつの)の両(りやう) 検校(けんげう)三線(さみせん)に合(あは)せて曲(きよく) 節(せつ)をかたる又(また)慶長(けいちやう)の頃(ころ) より浄留理(じやうるり)太夫(たいふ)の受領(じゅれう) をいたゞく事(こと)になり 京大阪江戸に浄留理 太夫 多(おほ)くなりて色々(いろ〳〵)の 流義(りうぎ)出来(しゆつたい)せり 【右丁 下段挿絵】 狂言(きやうげん) 【左丁 下段挿絵】 浄留理(じやうるり)  太夫

現代語訳

【右丁 上段】 ○狂言はその始まりが明らかではない。能の間に入るのは、気分を変えて笑いを誘うためであろう。能と同じく流派の区別があって、少しの違いがある。また狂言の中には伝授とするものがある。それは狂言の本意が滑稽な演技を専らとして、人の心を慰め笑いを起こすことを要点としたものであるという。 【左丁 上段】 ○浄瑠璃は小野のお通に始まる。お通は信長公の侍女である。三河国矢作の浄瑠璃姫の物語を作り、岩船検校が節を付けて、これを浄瑠璃と言った。その後、瀧野・沢角の両検校が三味線に合わせて曲節を語った。また慶長の頃より浄瑠璃太夫が受領(官位)をいただくことになり、京都・大阪・江戸に浄瑠璃太夫が多くなって、色々な流派が出来た。 【右丁 下段挿絵】 狂言 【左丁 下段挿絵】 浄瑠璃太夫

英語訳

【Right Page Upper Section】 ○The origins of kyōgen are not clear. It is inserted between noh performances to change the mood and induce laughter. Like noh, it has distinctions between schools with slight differences. There are also elements within kyōgen that are considered secret teachings. The true intent of kyōgen is said to specialize in comedic performance, comforting people's hearts and creating laughter as its essential purpose. 【Left Page Upper Section】 ○Jōruri began with Ono no Otsū. Otsū was a lady-in-waiting to Lord Nobunaga. She created the story of Princess Jōruri of Yahagi in Mikawa Province, and Iwafune Kengyō added the musical notation, calling it jōruri. Later, the two kengyō masters Takino and Sawatsuno narrated the melodic passages accompanied by shamisen. Also, from around the Keichō era, jōruri masters began to receive court ranks, and as jōruri masters increased in Kyoto, Osaka, and Edo, various schools emerged. 【Right Page Lower Section Illustration】 Kyōgen 【Left Page Lower Section Illustration】 Jōruri Master