翻刻
此は日赤道を巡(めぐ)るゆへ昼五十刻夜五十刻と昼夜(ちうや)等分(とうぶん)にして
寒暖(かんだん)なし又|問(とう)曰然は冬至(とうじ)は極寒(ごくかん)にして夏至(げし)は極暑(ごくしよ)なるべきに
暑寒(しよかん)の後(おく)るゝは如何(いかん)答(こたへ)曰大陽春分より漸々北に旋(めぐる)といへども
未(いま)だ寒冷(かんれい)の気を暖(あたゝ)め尽(つく)さず夏至(げし)に及(および)て冷気(れいき)悉(こと〴〵)く尽(つ)く
是より大陽南へ漸々に旋(めぐ)るといへども未だ北を旋(めぐ)るゆへに熱気(ねつき)
新(あら)たに火器(くはき)に火を入るといへども其器(そのうつは)未だ暖かならず火気
薄(うす)くなる比却(ころかへつ)て其|器熱(うつはあつ)くなるがごとし
月盈昃図
【図】
恒星天
下弦
日 朔晦 地球 望月
上弦
月は円(まどか)なる氷(こほり)の如くにして光(ひか)リ
なきもの也日(ひ)の光リを受(うけ)て光リを
なす日の天は高(たか)く月の天は低(ひく)し
朔日は日月|巡(めぐ)リ合ふ日也故に
月の光リ上にありて地よりは其
下を見る故に月の形(かたち)を見ず
日に遠ざかるニ随(したが)ひて月のかたち
あらはるゝ也十五日は日月地を中
にして向ひあふ故に満(まん)月となる
星もみな如此日の光リを受(うけ)て
光リをあらはすなり此図を
見て考へ知るべし