翻刻
よし。只(ただ)気根(きこん)に応(おう)じ入べし。
かり桶(おけ)《割書:わきはらに出し口ある桶也|宿にありかるべし一名湯》
《割書:筒(とう)とも|云なり》是(これ)に湯(ゆ)を汲(く)み。人に持(もち)
揚(あげ)させ。瀧(たき)の如(ごと)くして。思ふ所へかゝ
る。甚(はなはだ)快(こころよ)くして功(こう)多(をゝ)し。但(たゞし)積気(しやくき)
有人は。背(せなか)の十二三四のあたり
より|以下(いげ)をうたせて。それより上
と。腹(はら)とを。うたす|事(こと)なかれ。積(しやく)
気(き)動(どう)ぜんを|恐(おそれ)てなり。尤(もつとも)弱(よは)
き病人には。つよく用ゆべからず。
斯(かく)て|能(よく)温(あたゝめ)て|後(のち)。初(はじめ)て湯中に
つかり。ざつとして上るべし。如此(かくのごとく)
すれば。かつて|汗費(あせつい)えず。
しかも|下部(げぶ)温(あたゝま)りて。くたびれ
ず。空心(すきはら)に入べからず。必(かならず)湯漬(ゆづけ)
にても|食(く)ふべし。目のあしき
人洗て毒気(どくき)ぬき甚功あれど
常の人|猥(みだり)に目へ入れば痛事有
用捨有べし《割書:尤所に目|薬有》長湯すべからず
やゝもすれは目まふ事有|戯(たはふれ)さはぐへ
からず。酒気(さかけ)有時入へから
ず。のぼりて|悪(あし)し。昼寝(ひるね)す
べからず。腹立(はらたつ)べからず。但(たゝし)
昼(ひる)ばかり入て。夜分(やぶん)無用也。