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コレクション: STAGE1

但州城崎浴湯辧 - 翻刻

但州城崎浴湯辧 - ページ 19

ページ: 19

翻刻

いらず。食をもくはず。打臥(うちふし)てのみありしを。相宿(あいやと)の病僧(びやうさう)。此様子(ようす)をあやしみ。親切(しんせつ)をもつて。問(と)はれけるまゝ。しか〳〵のよし。はなしけるを聞(きゝ)て。僧(さう)大におどろき。足湯のたがひ成べし。あらゆにこそ入べけれとて。主(あるじ)を誹(そし)りつゝ。直(じき)にいざなひて。あらゆに入かへさせければ。たちまち。気(き)色(しょく)打(うち)はれて。食すゝみ出(いで)。夢(ゆめ)の覚(さめ)たる心(こゝ)地(ち)付。頭(づ)癒(さう)うごき出|頭(かしら)より膿(うみ)出る事(こと)瀧(たき)のごとく。其|夜(よ)いねし間(あいだ)に。頭(づ)瘡(さう)甲(かぶと)のごとく。すつほりとぬけて落(おち)たりければ。珍(めづら)しとて。人にうちたりて。見たりき。去(さる)程(ほど)に段(だん)々(〳〵)快(くはい)気(き)を得(ゑ)て。終(つい)に|瘡(そう)毒(どく)の|根(ね)をぬいたり。此人已(すで)に。虎(とら)の|尾(を)をふみたりしを。彼(かの)僧(さう)の気(き)づきをもつて。ふしぎの命。たすかりぬ。此僧の|恩(おん)こそ。浅(あさ)からねと。厚(あつ)く|謝(しや)して。別(わか)れけるとなり