翻刻
きぬ巻に打や衣のおとさへて
月にもおつる天津かりがね
気(け)比(ひ)夕(のせき)照(せう)
けいの湊をてらす夕日にしら波の
花もしばしうるらふと見る
津(つ)山(やま)の帰(き)帆(はん)
真帆片帆風にまかせて程もなく
帰る津山の海のつり舟
末(まつ)代(だい)山(さん)温(おん)泉(せん)寺(じ)
本(ほん)尊(ぞん)十一|面(めん)観(くはん)音(をん)さたけ
六尺余|稽(けい)文(ふん)仏(ぶつ)師(し)之|作(さく)
道(どう)智(ち)上人の|開(かい)基(き)湯(ゆ)根(こん)本(ぼん)
惣(そう)別(べつ)当(とう)坊(ぼう)也|毎(まい)年(ねん)三月
廿四日|開(かい)山(さん)忌(き)修(しや)行(ぎやう)あり
まんだら|湯(ゆ)は|道(どう)智(ち)上人
加(か)持(ぢ)所(しょ)なり聖(せい)武(む)帝(てい)の
叡(ゑい)聞(ぶん)に達(たつ)し末(まつ)代(だい)山(さん)温(をん)
泉(せん)寺(じ)とみことのり有(あり)と
云(いふ)委(くはしく)は寺(てら)に縁(えん)起(ぎ)有|求(もとめ)て見べし
寶(ほう)塔(とう) 本堂
の右
薬(やく)師(し)堂(どう) 温泉寺
の麓
鴻(こう)の|湯(ゆ) 薬師堂の東山根に
あり昔疵をかふふり
たる鴻自此湯に入て
治せしとかや
極(ごく)楽(らく)寺(じ) 曼荼羅湯
の西 経家
獨(どく)鈷(こ)水(すい) 極楽寺の後ろ一丁
ほど山の手にあり
道智湯を祈り玉ふに獨鈷を
もつてうがつ水なりといふ也
四(し)所(しょ)明神 中の町のはつれに
有是出石明神の