翻刻
【挿し絵】
今井(いまゐ)
浄興寺(しやうかうし)
琴弾松(ことひきまつ)
東土産
富士の根
は
遠からぬ
雪の
千里
かな
方丈の西にさし
むかひ雪くもりなく
見えわたるはかり
なり云々
宗長
【図中】
本堂
琴ひき松
【本文】
和歌(わか)を詠(えい)せらる……
天川山妙福寺(てんせんさんめいふくし) 下鎌田村(しもかまたむら)にありて浄興寺(しやうこうし)の北二町 斗(はかり)を隔(へた)□浄土(しやうと)
宗にして上今井村(かみいまゐむら)金蔵寺(こんさうし)に属(そく)す中興(ちゆうこう)開山(かいさん)は徳誉岌公和尚(とくよきうこうおしやう)と号(かうす)
本尊(ほんそん)は阿弥陀如来(あみたによらい)なり
親鸞(しんらん)上人 御影堂(みえいたう) 《割書:本堂(ほんたう)の前(まへ)左(ひたり)の方(かた)にあり相伝(あひつた)ふ昔(むかし)親鸞(しんらん)上人 東国遊化(とうこくいうけ)の頃(ころ)|此地(このち)をよきり給ふ時(とき)に其年(そのとし)旱魃(かんはつ)にて里民(りみん)の歎(なけき)ひとかた》
《割書:ならす上人 請雨(あまこひ)の祈念(きねん)ありしかは数日(すしつ)の間(あひた)雨降(あめふり)て百穀(ひやくこく)登(みの)る其後(そのゝち)上人こに止(とま)り給ふ事|三年 帰洛(きらく)の頃(ころ)自身(ししん)の肖像(せうさう)を造(つく)りてこゝに残(のこ)し置(おか)るゝとなり毎歳(まいさい)四月八日より》