翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

化物見世開 : 2巻 - 翻刻

化物見世開 : 2巻 - ページ 6

ページ: 6

翻刻

みこしにうどうかの たなをかりたところが ばけものゝひつこしと いふものはせわのない ものたゝみをしかへ でもなしぞうさく しよふでもなし がらくたとうぐは ひとりでにてあし がついてあるいてくる それもむさくろしく とりちらしておくが いゝとてかたづけるせはも なくぶちこはしだいく をたのんでまだあそこ のかべかまんそくで あるからちとたゝ きこはしてくだ せへとたのみ おもいれそこら ちうをとりちらし てさて〳〵これで きたなくなつた からこゝろもちが さつぱりとしていゝと 大きによろこび 【左ページへ】 けんぞく とも大ぜい いちどきにどし【度仕込む=どっと入る】 こんだところが さあこれからは なんぞまたせう ばいをせずは なるめへ大ぜい あそんでいては つまらねへ もんだと  いろ〳〵   せうばい    のことを     くふう      する 〽このとなりは たぬき おの だの どふりで はら つゞみの おとが する 〽なるほ どこゝ らはばしよ がらとみへた うそさみし くてとんだ いゝところ     だ 【右ページ下】 〽おはぐろつぶはどこへ はいつたやらいつそはが しろくなつた

現代語訳

神輿入道がその店を借りたところが、化け物の引っ越しというものは世話のないもので、畳を敷き替えるでもなし、雑作修理するでもなし。がらくた道具は一人でに手足がついて歩いてくる。それも汚らしく取り散らしておくのがいいとて、片付ける世話もなく、「ぶち壊し大工を頼んで、まだあそこの壁が満足であるから、ちょっと叩き壊してください」と頼み、思い入れそこら中を取り散らして、「さてさて、これできたなくなったから、心持ちがさっぱりとしていい」と大いに喜んだ。 眷族ども大勢が一度にどっと入り込んだところが、「さあ、これからは何ぞまた商売をせずばなるまい。大勢遊んでいてはつまらぬもんだ」といろいろ商売のことを工夫する。 ♪「この隣は狸の腹鼓の音がする」 ♪「なるほど、ここらは場所柄と見えて、うそ寂しくて、とんだいいところだ」 ♪「お歯黒粒はどこへ入ったやら、一層歯が白くなった」

英語訳

When the palanquin goblin rented that shop, moving house for monsters was a simple affair - no need to replace the tatami mats, no need to do miscellaneous repairs. The junk and tools grew legs and arms by themselves and walked over. Since it was best to leave everything messily scattered about, there was no need to tidy up. He asked for a "demolition carpenter," saying "Please knock down that wall over there a bit since it's still too intact," and scattered things all around with great feeling. "Well now, this has gotten nicely dirty, so I feel refreshed and good," he rejoiced greatly. When his numerous followers all rushed in at once, he said, "Now then, we must start some kind of business. It would be boring for so many to just idle around," and he pondered various business ideas. ♪ "Next door are tanuki making the sound of belly drums" ♪ "Indeed, this area seems to be quite the location - so eerily quiet, what a perfect place" ♪ "Where did the tooth-blackening powder go? My teeth have become even whiter"