翻刻
しもおもはぬ事のかうなさけなきをすさ
ましくおもひ【しらけた感じに】なり給にしかとかうこの中将
のいひありき【あれこれと言い寄り】けるをこと【言】おほくいひなれたら
む方にそなひかむかししたりかほ【得意顔】にもとの
ことをおもひはなち【思い切る】たらむけしきこそう
れはしかる【嘆かわしい】へけれとおほして命婦をまめ
やかに【誠実に】かたらひ給おほつかなうもてはな
れたる【なぜか故意に避け続ける】御けしきなむいと心うきす
き〳〵しきかた【好色めいた人】にうたかひよせ給ふにこそ
あらめ【疑いをお持ちなのだろうか】さりとも【ともかく】みしかき心は え(え)つかはぬも
現代語訳
しかし思ってもみないことがこのように情けないのを興ざめに思いになったのであろうか。このように、この中将があれこれと言い寄ったことを、言葉巧みに言い慣れた男性に備わっているかのような得意顔で、元の恋心を思い切ったような様子こそ嘆かわしいことだとお思いになって、命婦を真剣に説得なさる。「なぜかわざと避け続けていらっしゃるご様子がとても心苦しい。好色めいた男性への疑いをお抱きになっているのでしょうか。そうだとしても、浅はかな心では決して
英語訳
However, finding such unexpected coldness so heartless, he probably felt disillusioned. Seeing how this Middle Captain had made his various advances, she acted with the confident air of someone equipped with the smooth words of an experienced man, appearing to have given up her former feelings - this seemed truly lamentable to him, so he earnestly spoke with Myōbu. "Her deliberately distant manner is most distressing to my heart. Perhaps she harbors suspicions of me as a frivolous man? Even so, with a shallow heart one could never