翻刻
ひそく【秘色】やうのもろこしのものなれとひと
わろき【他人に対して体裁が悪い】になにのくさはひ【種類】もなくあはれけ【いかにもあられに思われる様】
なるまかてゝ人〳〵くふすみのま【隅の間】はかりにそ
いとさむけなる女 房(はらか?)しろききぬのいひし
らす【何とも言えない】すゝけたる【黒ずんでいる】にきたなけなるしひら【注①】
ひきゆひつけたる【結びつけている】こしつきかたくなしけ【不体裁なさま】也
さすかにくし【櫛】をしたれて【垂らして】さしたるひた
いつきないけうはう【注②】内侍所【注③】のほとにかゝ
るものともあるはやとおかしかけても【ゆめにも】人の
あたりにちかふふるまふものともしりたま
【注① しびら(褶)=下半身にまとうひだの少ない裳(も)の一種。略儀の所用で、主として下級の女房の間に用いられた。】
【注② 内教坊=宮中にあって、舞姫を置き、女楽、踏歌(とうか)などを教習させる所。】
【注③ 宮中の温明殿(うんめいでん)の別名。三種の神器の一つである八咫鏡を安置する所。内侍が常に奉侍する。】