Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション4

BnF. Département des Manuscrits. Japonais 5340 (1) - 翻刻

BnF. Département des Manuscrits. Japonais 5340 (1) - ページ 80

ページ: 80

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とてさもや【注①】しみつかむとあやうく【注②】思ひた まへりそらのこひ【注③】をしてさらにこそしろ まね【注④】ようなきすさひわさ【注⑤】なりや内にい かにのたまはむとすらんといとまめやかに【注⑥】 の給をいと〳〵おしとおほしてよりての こひ給へはへいちう【注⑦】かやうにいろ【墨の色】とりそへ給 なあからんはあえなん【注⑧】とたはふれ給さま いとおかしきいもせとみえ給へり日のい とうらゝかなるにいつしかと【注⑨】かすみわ たれるこすゑともの心もとなきなかにも 【注① その通りに~するかもしれない。】 【注② 不安に】 【注③ ふき取るふり。】 【注④ 一向に白くならない。】 【注⑤ 遊び事】 【注⑥ いかにも真面目に。】 【注⑦ へいぢう=『平中物語』(平安時代に成立した歌物語)の主人公。 平中は、女を訪れるときに、硯の水入れを持参して、目をぬらしてなくふりをして。女が水入れに墨を入れておいたので、平中の顔は真黒になったという話がある。】 【注⑧ 我慢できるだろう。】 【注⑨ いつの間にか。】

現代語訳

「とはいえ、そのように本当に痩せ衰えてしまうかもしれない」と不安に思っていらっしゃった。(紅を)拭き取るふりをして、まったく白くならない。つまらない遊び事である。「家の中で(姫君が)どのようにおっしゃるつもりでしょうか」ととても真面目におっしゃるのを、とてもかわいらしいとお思いになって、寄り添ってお慕い申し上げなさると、「平中のように、このように墨の色を塗り加えなさるな。そうでなければ我慢できるでしょう」と戯れなさる様子がとても趣深く、兄妹のようにお見えになった。日がとても穏やかな中で、いつの間にか霞がかかっている梢も物足りない感じの中でも

英語訳

"Even so, she might truly waste away like that," he thought anxiously. Pretending to wipe it off, it wouldn't become white at all—what a trivial amusement this was. When he said quite seriously, "What might she say about this inside the house?" she found it very endearing and drew closer to him affectionately. "Don't add ink colors like Heichū did. Otherwise, I could bear it," she jested, and their manner appeared most charming, like brother and sister. On this very pleasant day, the treetops shrouded imperceptibly in haze seemed somehow unsatisfying, yet even so...