翻刻
【右丁】
末吉不動堂(すゑよしふとうたう)
【図】
【枠内】不動堂
【枠内】本堂
【枠内】かね
【枠内】仁王門
【枠内】末吉村
【左丁】
秋田城之介義景(あいたしやうのすけよりかけ)【注】旧館地(きうくわんのち) 其地(そのち)今(いま)しるへからす東鑑(あつまかゝみ)に仁治(にんち)
二年十一月四日 将軍家(しやうくんけ)武蔵野開發(むさしのかいほつ)の御方違(おんかたたかへ)として
義景(よしかけ)か武蔵國(むさしのくに)の鶴見(つるみ)の別荘(へつさう)に渡御(ときよ)頗以(すこふるもつ)て壮観(さうくわん)なりとあり
醫王山(いわうさん)成願寺(しやうくわんし) 鶴見村(つるみむら)の内(うち)にして街道(かいたう)より山手へ入る事三丁
斗(はかり)にあり曹洞(さうとう)の禅刹(せんせつ)にして寺尾(てらを)天光寺(てんくわうし)に属(そく)す本尊(ほんそん)釋迦(しやか)
如来(によらい)にして作者(さくしや)詳(つまひらか)ならす開山(かいさん)を聲菴聞大和尚(せいあんもんたいおしやう)と号す
薬師堂(やくしたう)に安(あん)する所の薬師座像(やくしささう)にして七尺斗り古佛(こふつ)に
してともに作者(さくしや)知(し)れすといふ
白籏八幡宮(しらはたはちまんくう) 白籏村(しらはたむら)にあり義経(よしつね)の霊(れい)を鎮る所と云/傳(つた)ふ別當(へつとう)
は神奈川(かなかわ)能満院(のうまんゐん)兼帯(けんたい)す来由(らいゆ)は拾遺(しうゐ)江戸名所/圖會(つゑ)に
詳(つまひらか)なり
子安観世音(こやすくわんせおん) 子安村(こやすむら)海道(かいたう)より右(みき)の方(かた)の岳(をか)にあり子生山(こいけさん)
東福寺(とうふくし)と号(かう)す新義(しんき)の真言宗(しんこんしう)にて神奈川(かなかは)の金蔵(こんさう)
【注 「義景」の振り仮名はママ】
現代語訳
【右丁】
末吉不動堂
【図】
【枠内】不動堂
【枠内】本堂
【枠内】かね
【枠内】仁王門
【枠内】末吉村
【左丁】
秋田城介義景の旧館跡 その場所は今では分からない。『東鑑(吾妻鏡)』によると、仁治二年十一月四日、将軍家が武蔵野開発の方違えとして義景の武蔵国鶴見の別荘に行幸された。きわめて壮観であったとある。
医王山成願寺 鶴見村の内にあって、街道から山手へ入ること三町ほどのところにある。曹洞宗の禅寺で、寺尾天光寺に属する。本尊は釈迦如来であるが、作者は明らかでない。開山を声庵聞大和尚と号する。薬師堂に安置されている薬師座像は七尺ほどの古仏で、ともに作者は分からないという。
白幡八幡宮 白幡村にあり、義経の霊を祀る所と伝える。別当は神奈川能満院が兼帯している。来歴については『拾遺江戸名所図会』に詳しい。
子安観世音 子安村の街道から右手の丘にある。子生山東福寺と号し、新義真言宗で神奈川の金蔵院に属する。
英語訳
【Right page】
Sueyoshi Fudō Hall
【Illustration】
【Within frames】Fudō Hall
【Within frames】Main Hall
【Within frames】Bell
【Within frames】Niō Gate
【Within frames】Sueyoshi Village
【Left page】
Former residence site of Akita-jō-no-suke Yoshikage: The location is now unknown. According to the Azuma Kagami, on the 4th day of the 11th month of Ninji 2, the Shogun visited Yoshikage's villa in Tsurumi, Musashi Province, as a directional taboo avoidance for the development of Musashino. It was described as extremely magnificent.
Iō-san Jōgan-ji Temple: Located within Tsurumi Village, about three chō into the mountains from the highway. It is a Sōtō Zen temple affiliated with Tenkō-ji Temple in Terao. The principal deity is Shakyamuni Buddha, but the creator is unknown. The founding priest is called Seiān Mon Daiosho. The seated Yakushi statue enshrined in the Yakushi Hall is about seven shaku tall and is an ancient Buddha statue, both with unknown creators.
Shirahata Hachiman Shrine: Located in Shirahata Village, it is said to enshrine the spirit of Yoshitsune. The temple administrator is concurrently served by Nōman-in Temple in Kanagawa. The historical background is detailed in the Shūi Edo Meisho Zue.
Koyasu Kanzeon: Located on a hill to the right of the highway in Koyasu Village. It is called Koike-san Tōfuku-ji Temple, belongs to the Shingon sect (New School), and is affiliated with Konzō-in Temple in Kanagawa.