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コレクション: 養蚕の書

養蚕秘録 3巻. [3] - 翻刻

養蚕秘録 3巻. [3] - ページ 23

ページ: 23

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此(この)詩(し)は蚕(かひこ)の功(こう)を賞(しやう)せし詩(し)なり養口(くちをやしなひ)資身(みをたすけ)頼(よるに)以桑(くわをもつて)とは蚕は諸虫(しよちう)と違(ちが)ひ 色々(いろ〳〵)の物を喰(くらは)ず桑(くわ)一 種(しゆ)をもって足(た)れりとす終(ついに)成王道(わうだうをなして)沢流(たくりう)長(ながし)とは衣食(いしよく)は 生養(せいやう)の急務(きうむ)沢流(たくりう)は王化(おうくわ)なり蚕(かひこ)は衣服(いふく)の根本(こんほん)なれば終(つい)に王道(わうだう)を成(な)すといへり 吐絲(いとをはくに)不羨蜘蛛巧(ちちうのたくみをうらやます)とは《振り仮名:蜘蛛|ちちう|くも》は樹上(じゆしやう)に糸(いと)を張て自ら食を貪る其事は巧也 といへども其志小人のふるまひなれば羨にたらずといへり飼葉(はをかふて)頻(しきりに)《振り仮名:催|さいす|もよほす》織女(しよくじよの)《振り仮名:忙|ばう|いそがし》とは 蚕の糸(いと)を吐(はく)は蜘蛛(くも)におなじといへども我(わが)食(しよく)を貪(むさぼ)るためにあらず其 功(こう)を他(た)に施(ほど) し其 余慶(よけい)によりてやしなはる是 君子(くんし)の禄(ろく)なり頻催(しきりにさいす)織女(しよくぢよ)忙(ばう)は其 功(こう)を他(た) に及すをいふ三起(さんき)三眠(さんみん)時(ときに)化運(くはうん)一生(いつしやう)一死(いつし)命(めい)天(てん)常(じやう)とは動止(どうし)みな天命(てんめい)に帰(き)す 待看(まちみよ)献繭(まゆをけんず)盆繅後(ほんさうのゝち)先(まづ)與吾皇織袞裳(わがくわうのこんしやうをおるにあたへん)といふは蜘蛛(ちちう)の巧(たくみ)を羨(うらやま)ずといひし 句(く)に対(たい)して首尾(しゆび)を結(むす)ぶ盆樔(ぼんさう)は郊廟(かうべう)【原典は郊に广がつく】に献(けん)ずる祭器(さいき)糸(いと)を繰(く)る具(ぐ)なり袞(こん) 裳(しやう)は天子(てんし)の服(ふく)なり是蚕の成功(せいこう)を述(のべ)て君子(くんし)の徳(とく)ある事を賞(しやう)せり   《振り仮名:粉-色|ふんしよく》全無(まつたくなし)《振り仮名:飢-食|きしよく》加(くはふ)豈(あに)知(しらんや)《振り仮名:人-世|じんせ》有(あることを)_二《振り仮名:栄-華|ゑいくわ》_一《振り仮名:年-々|ねん〳〵》道(いふ)我蠶(われかひこに)   《振り仮名:辛-苦|しんくして》《振り仮名:底-事|なにごとぞ》《振り仮名:渾-身|こんしん》着(ちやくす)_二《振り仮名:紵-麻|ちよまを》_一 此 詩(し)は農家(のうか)の労(らう)を憐(あはれみ)て作(つく)れる詩(し)なり粉色(ふんしよく)は女の粧(よそほ)ひをいふ全(まつたく)飢食(きしよくの)の 加(くは)ふるなしといふは農家(のうか)の女をみれば紅(べに)白粉(をしろい)の粧(よそほい)ひはなくしてまつたく 飢(うへ)つかれたる容(かたち)に似(に)たり豈知(あにしらんや)人世(じんせ)有栄華(ゑいくわあること)といふはかやうの身(み)ぶんの者(もの)は 何(なに)として世間(せけん)の栄華(ゑいぐわ)あることをしらんとなり遠国(ゑんごく)辺境(へんきやう)の農民(のうみん)などは都(すべ)て 繁華(はんくわ)の土地(とち)の人に交(まじは)らねば世間(せけん)の栄華(ゑいくわ)はしらじとなり年々(ねん〳〵)道(いふ)我蠶(われかひこに)辛苦(しんくして) 底事(なにごとぞ)渾身(こんしん)着紵麻(ちよまをちやくす)とは農民(のうみん)みづから歎(たん)じていふ体(てい)なり年々(とし〳〵)蚕を飼(かふ) 毎(ごと)に我は夜(よ)もゆたかに寝(いね)やらず辛苦(しんく)して糸(いと)をとりながらかへつて 我身(わがみ)には紵麻(ちよま)とて麻(あさ)の布(ぬの)を身(み)にまとひて生涯(しやうがい)栄華(ゑいが)の楽(たのしみ)をもな さずあらき働(はたらき)きに日(ひ)を送(おく)ることよと也此 詩(し)は表(おもて)には辛苦(しんく)を歎(たん)ずる情(じやう)を