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コレクション: 養蚕の書

養蚕秘録 3巻. [3] - 翻刻

養蚕秘録 3巻. [3] - ページ 4

ページ: 4

翻刻

   真綿(まわた)仕立様(したてやう)の事 真綿(まわた)は糸(いと)に取がたき悪(あ)しき繭(まゆ)を撰(ゑり)出し是を上灰汁(じやうあく)にて能(よく)煮(に)夫より水に 漬(つけ)さらして灰汁(あく)を出し図(づ)のごとくゆびにて引延し引盤に掛るなり国々 流儀(りうぎ)多しそれより清水(せいすい)にて引延(ひきのば)し干立(ほしたつ)る所あり又 綿(わた)にて水に潰(つけ) さらす所もあり夫(それ)よりしてむしろ或(あるひ)は繩(なは)につりてほしたつるなり 人皇(にんわう)三十二代 欽明(きんめい)天皇の皇女(くはうぢよ)各谷姫(かくやひめ)《場所:常陸國(ひたちのくに)》《場所:筑波山(つくばやま)》に飛(と)び去(さ)り給ひ蚕神(さんじん) と斎(いはゝ)れ給ふ国人等(くにびとら)養蚕(やうざん)大明神(だいみやうじん)と崇(あが)め奉る筑波山(つくばやまに)乾道仙人(けんだうせんにん)#1住(ぢう)して 真綿(まわた)を練(ね)る秘事(ひじ)を民(たみ)に教(をしへ)し由(よし)古書(こしよ)に出たり又一 説(せつ)に中華(もろこし)舜(しゆん)の 御代(みよ)に官人(くはんにん)馬(むま)を引出て庭上(ていしやう)にはなし置(をき)ぬ折ふし皇女(くはうぢよ)玉簾(ぎよくれん)を挑(かゝ)げ馬を 見(み)給ふ彼(かの)馬(むま)皇女を深(ふか)く見入てやみぬ或夜(あるよ)の夢(ゆめ)に彼馬 告(つげ)ていふ様われ畜類(ちくるい) ながら姫(ひめ)の艶色(ゑんしよく)に引かれて思ひ入ることせつなり然(しか)れども人間(にんげん)ならざれはカ(ちから)及(およ) ばす死(し)して一 方(はう)の蚕(かひこ)と生(しやう)じ 真綿(まわた)にひかれて皇女(くはうぢよ)の御 身(mi )に 添ふべしと告(つげ)て夢(ゆめ)覚(さめ)ぬ 翌日(よくじつ)彼(かの)馬 果(はた)して死(し)す故(ゆへ)に野(や) 外(くはい)に埋(うづめ)しかは其地(そのち)に虫(むし)多く生(しやう) じ辺(あた)りの桑の葉を喰(く)ひまゆ 作る是を真 綿(わた)にひかせけると古(こ) 書(しよ)に見へたり又もろこしに 馬を飼(か)ふ人あり女子(によし)壱人 持(もて)り 或時(あるとき)父(ちゝ)遠(とを)く行て久しく家(いへ)に 帰らず女(むすめ)父(ちゝ)の帰(かへり)を待(まち)詫(わび)て馬に 【図中】 真綿(まわた)を かける図