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コレクション: 養蚕の書

養蚕秘録 3巻. [3] - 翻刻

養蚕秘録 3巻. [3] - ページ 5

ページ: 5

翻刻

向ひ戯(たはむれ)に云(いふ)汝(なんぢ)父を迎(むか)へ乗(の)せ来(きたら)ば 汝と夫婦(ふうふ)に成(なる)べしといふ彼馬 即(すなはち)駈(かけ)出(いで)父を乗(のせ)帰る娘(むすめ)おどろき 此よしを父にかたる父 怒(いかつ)て馬を 殺(ころ)し其皮を剥(は)ぎて木の枝(えだ)に掛(かけ) 置(をき)しに娘(むすめ)其木の下(した)を通(とをり)し時 彼皮 忽娘をまとひ倶に化して 蚕(かひこ)と成けるとかや  按(あん)ずるに是等(これら)は妄説(もうせつ)にして信(しん)  用(よう)しがたし尤(もつとも)世に蚕の種類(しゆるい)数多(あまた)  あれば一方の蚕(かひこ)にても有べき歟  乍然(しかしながら)生皮(なまかは)を其 侭(まゝ)置時は虫わく  こと馬の皮に限(かぎ)るべからず唐土(もろこし)の  蚕は伏犠氏(ふくきし)より始りて黄帝(くわうてい)  の代(よ)より広(ひろ)くなる事 諸書(しよ〳〵)に  見へたり考(かんが)ふべし 三才図会(さんさいづゑ)云 蚕(かいこ)の神(かみ)を天駟(てんし)と名(な) づく天駟(てんし)は諸星(しよせい)の司(つかさ)たるゆへに 蚕神(さんじん)ともいふべきや又 天駟(てんし)は 馬を司(つかさ)どる星(ほし)とも云又一 説(せつ)に蚕 は龍(りやう)の精たり馬と気(き)を同(おな)じう す故(かるがゆへ)に午(むま)の日を用ゆともいへり 【右図中】 清水(せいすい)にて 真綿を   さらす図 【左図中】 真綿 干立(ほしたつ)る    図