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コレクション: 養蚕の書

養蚕秘録 3巻. [3] - 翻刻

養蚕秘録 3巻. [3] - ページ 6

ページ: 6

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   糸綿疎かにすべからざる事 旧事本記(くじほんぎ)曰 麻(あさ)は布(ぬの)となして下民(かみん)の膚(はだへ)を隠(かく)し蚕は絹(きぬ)となつて上(か)み 公卿(くぎやう)諸侯(しよこう)の御 肌(はだへ)を修(おさ)め朝衣(てうゐ)の服(ふく)と成上下の節(せつ)を分(わか)つ聖徳(しやうとく)太子曰 神蚕(かひこ) 四 度(ど)の眠起(ねふりおき)は天(てん)にあるときは元亨利貞(げんかうりてい)人(ひと)に有ては仁義禮智(じんぎれいち)身(み)にとり ては地水火風(ちすいくわふう)仏(ぶつ)に於(おい)ては常楽我浄(じやうらくがじやう)の理(り)にして生住異滅(しやうぢういめつ)の理(り)をしらせ三世(さんせ) を表(あらは)す名虫(めいちう)にて種(たね)は過去(くわこ)蚕(かひこ)は現在(げんざい)繭(まゆ)は未来(みらい)なり過去(くはこ)の悪(あし)き蚕は 現在(げんざい)も必(かならず)悪(あ)し過去(くわこ)の能(よ)き蚕は現在(げんざい)にて養育(やうゐく)正(たゞ)しく繭(まゆ)も必(かならず)よし 夫々(それ〳〵)に随て報因(ほうゐん)の果(くは)を受(うけ)る蚕 繭(まゆ)と成て爐(ろ)に掛(かゝ)る時は火焔(くわゑん)に焦(こが)れ糸(いと)に なるは熱湯(ねつたう)に煮(に)らる凡(およそ)絹(きぬ)五 丈余(ぢやうよ)を以(もつて)衣服(ゐふく)壱ツとし是にまゆの数(かず)凡三千 余(よ) にして虫(むし)の数(かず)も亦(また)三千 余(よ)なり又 農家(のうか)の辛労(しんらう)をも思ひ絹(きぬ)壱寸 糸(ito )壱尺 をも疎(おろそ)かにおもふべからず○昨(さく)-日(じつ)到(いたり)_二城(じやう)-郭(くはくに)_一帰(かへり)-来(きたつて)涙(なんだ)満(みつ)_レ巾(きんに)遍(へん)-身(しん)綺(き)-羅(らつ)-者(もの)非(あらず)_二 是(これ)養(やしなふ)_レ蚕(かひこを)人(ひとに)_一と古人(こじん)の謂(いへ)りしもさもありぬべし又 養蚕(やうさん)を殺生(せつしやう)の業(わざ)と 心得(こゝろえ)ぬる人も有ぬべし然(しか)れども無益(むやく)の慰(なぐさみ)にするにはあらず衣食(ゐしよく)の道(みち) は安民(あんみん)第一の業(げふ)なれば一日もなくんばあるべからず故(ゆへ)に天(あめ)の神(かみ)の教(をしへ)を垂(たれ)させ 給ふ大業(たいげふ)なり鳥獣(てうじう)虫魚(ちうぎよ)草木(さうもく)までも天地神明(てんちしんめい)の恵(めぐ)みによりて生出(なりいづ)る所の 恩頼(たまもの)なれば仮(かり)にも疎(おろそ)かにすべからずかゝる理(り)をもしらず唯(たゞ)利欲(りよく)にのみ耽(ふけ)りて 人を恵(めぐむ)むの心なくんば天(あめ)の神(かみ)の御心(みこゝろ)に逆(さか)ひ災害(わさはひ)目前(まのあたり)に到(いたり)ぬべし能々(よく〳〵)慎(つゝし)み 正直(しやうじき)にして業(げふ)をつとめば祈(いの)らずとても神(かみ)や守(まも)らんとの御誓(おんちかひ)豈(あに)むなし からんや心あらん入は此 理(り)を弁(まきま)へ【わきまへ】猥(みだり)に妖僧(ようそう)の言(こと)を信(しん)じて惑(まど)ふことなかれ    秋胡于(しうこし)が妻(つま)の事 もろこし秋胡子(しうこし)が妻(つま)潔婦(けつふ)といふは嫁(か)して五日めに夫(おつと)官(くわん)につかへて他国(たこく)へ 行けり五年 過(すぎ)て秋胡子(しうこし)古郷(こきやう)へ帰(かへ)りけるに五月の頃(ころ)道(みち)の辺(ほとり)に美(うるは)しき女 桑(くわ)