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コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 5 江戸名所図会

江戸名所図会 20巻 巻之11 - 翻刻

江戸名所図会 20巻 巻之11 - ページ 15

ページ: 15

翻刻

【右丁】  九月十三日より十九日に至(いた)り誦経(しゆきやう)説法(せつほふ)等(とう)あり尊影(そんえい)は日護上人(にちこ    )の  作(さく)といふ相伝(あひつた)ふ此(この)七面尊(しちめんそん)は江戸(えと)の地(ち)に七面宮(しちめんくう)を勧請(くわんしやう)するの最初(さいしよ)に  して往古(そのかみ)駿州(すんしう)大久保(おほくほ)に三沢氏(みさはうち)某(それかし)勧請(くわんしゃう)す萬治年間(まんちねんかん)当寺(たうし)へ移(うつ)し  奉(たてまつ)ると《割書:或人(あるひと)云(いふ)三沢氏(みさはうち)は小次郎政広(      まさひろ)と云(いふ)淡州(たんしう)の人なり後(のち)に駿河国(するかのくに)富士郡(ふしこほり)大鹿村(おほかむら)|に移(うつ)り住(ちゆう)す富士十七騎(ふし  き)の一なり延慶(えんけい)二年己酉五月十八日に没(ほつ)す法号(ほふかう)三沢(さんたく) 》  《割書:院法性日弘(ゐんほふしやうにちこう)|と号(かう)すと》或(あるひ)は云(いふ)延宝年間(えんはうねんかん)甲州(かうしう)身延山(みのふさん)よりこゝに移(うつ)すと境内(けいたい)桜樹(さくら)  多(おほ)くありて弥生(やよひ)の盛(さかり)をもて一時(いちし)の奇観(きくわん)とす《割書:寛文(くわんふん)三年より此(この)神前(しんせん)において|常経読誦(しやうきやうとくしゆ)をはしめ永世(えいせ)に絶(たえ)さらしむ》 鎮護山(ちんこさん)自証院(ししやうゐん) 同所西の方 道(みち)より右側(みきかは)にあり《割書:土俗(とそく)此所(このところ)を|饅頭谷(まんちゆうたに)と云》円融寺(ゑんいうし)と  号(かう)す天台宗(てんたいしう)にして東叡山(とうえいさん)に属(そく)せり尾州亜相(ひしうあしやう)光友卿(みつともきやう)の御簾中(これんちゆう)  千代姫君(ちよひめきみ)の御母堂(こほたう)自証院殿光山暁桂大姉(ししやうゐんてんくわうさんきやうけいたいし)御菩提(おんほたい)の為(ため)に開創(かいさう)  せし精舎(しやうしや)なり本尊(ほんそん)は阿弥陀如来(あみたによらい)開山(かいさん)を日須上人(にちしゆ    )と号(かう)す当寺(たうし)始(はしめ)は  日蓮宗(にちれんしう)にて本理山(ほんりさん)自証寺(ししやうし)と唱(とな)へしか元文年間(けんふんねんかん)故(ゆゑ)ありて天台(てんたい)  宗(しう)に改(あらた)めらる当寺(たうし)を世(よ)に《振り仮名:ふし寺|    てら》と字(あさな)す諸堂宇(しよたうう)悉(こと〳〵)く種々(くさ〳〵)の節(ふし)  ある木(き)を集(あつ)めて造立(さうりふ)したる故(ゆゑ)に衆人(しゆうしん)見(み)て奇異(きい)なりとす因(よつ)て 【左丁】             円(ゑん)             照(せう)             寺(し)                          かね                  本堂   兜松  神楽所            えもん■#5  本社  鎧(よろひ)  明(みやう)  神(しん)  社

現代語訳

【右丁】 九月十三日から十九日まで読経説法などが行われ、尊影は日護上人の作といわれている。この七面尊は江戸の地に七面宮を勧請した最初のものであり、昔、駿州大久保で三沢氏某が勧請し、万治年間に当寺へ移したとされる《割書:ある人によると、三沢氏は小次郎政広という淡路の人で、後に駿河国富士郡大鹿村に移り住んだ。富士十七騎の一人で、延慶二年己酉五月十八日に没し、法号は三沢院法性日弘と号するという》。あるいは延宝年間に甲州身延山からここに移したともいう。境内には桜の木が多くあり、三月の盛りには一時の奇観となす《割書:寛文三年よりこの神前において常経読誦を始め、永世に絶やすことがない》。 鎮護山自証院 同所西の方、道より右側にあり《割書:土俗はこの所を饅頭谷という》。円融寺と号し、天台宗で東叡山に属している。尾州亜相光友卿の御簾中千代姫君の御母堂自証院殿光山暁桂大姉の御菩提のために開創した精舎である。本尊は阿弥陀如来、開山を日須上人と号す。当寺は初めは日蓮宗で本理山自証寺と唱えていたが、元文年間に故あって天台宗に改められた。当寺を世に「ふし寺」と字する。諸堂宇はことごとく種々の節ある木を集めて造立したため、衆人が見て奇異であるとした。よって 【左丁】             円照寺                          鐘                  本堂   兜松  神楽所            衛門■  本社  鎧明神社

英語訳

【Right Page】 From September 13th to 19th, sutra chanting and preaching are held, and the sacred image is said to be the work of Nichigo Shonin. This Shichimen-son (Seven-Faced deity) was the first to establish a Shichimen shrine in Edo. Long ago, a certain member of the Misawa clan invited the deity in Okubo, Suruga Province, and it was moved to this temple during the Manji era (1658-1661) {{Note: According to some, the Misawa clan member was Kojiro Masahiro from Awaji Province, who later moved to Oka village in Fuji District, Suruga Province. He was one of the Fuji Seventeen Horsemen and died on May 18th, Enkyo 2 (1309). His Buddhist name was Santaku-in Hosho Nichiko}}. Alternatively, it is said to have been moved here from Mount Minobu in Kai Province during the Enpo era (1673-1681). There are many cherry trees on the temple grounds, creating a spectacular sight during the peak of March {{Note: Since Kanbun 3 (1663), regular sutra recitation has been performed before this deity, continuing eternally without interruption}}. Chingo-san Jishoin Temple: Located to the west of the same area, on the right side of the road {{Note: Locals call this place Manju Valley}}. It is called Enyuji Temple, belongs to the Tendai sect under Toeizan. It is a sacred building established for the spiritual repose of Jishoin-den Kozan Kyokei Daishi, the mother of Princess Chiyo, consort of Lord Mitsutomo, Vice-Minister of Owari Province. The principal deity is Amida Buddha, and the founding priest is called Nichishu Shonin. This temple was originally of the Nichiren sect, called Honrizan Jishoji, but was changed to the Tendai sect during the Genbun era (1736-1741) for certain reasons. This temple is commonly called "Fushi-dera" (Knot Temple). All the temple buildings were constructed by gathering various types of knotted wood, which people found strange and unusual. Therefore... 【Left Page】             Ensho-ji Temple                          Bell                  Main Hall   Kabuto Pine  Kagura Hall           Emon■  Main Shrine  Yoroi Myojin Shrine