翻刻
【右頁右下端に頁番号「2」】
放浪の王者【タイトル大活字】
製作 パラマウント西部撮影所 × 原作ジヤステイン・ハントリー
・マカアシイ氏作戯曲「我れ若し王者なりせば」及び喜歌劇「放浪の王
者」 × 脚色及台詞ヘルマン・ジエイ・マンキウイツチ氏 × 台本及
歌詞ウイリアム・エツチ・ポースト氏、ブライアン・フツカー氏 ×
音楽ルドルノ・プリムル氏 × 撮影 ヘンリー・ジエラード氏、レイ・
レンナハン氏 × 発売一九三〇年四月十一日
監督 ルウドウイツヒ・ベルゲル氏
配役
フランソア・ヴイヨン •••••••••••••••••••••••••••••• デニス・キング
カトリイヌ姫 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• ジヤネツト・マクドナルド
ルイ十一世 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• オ・ピ・ヘツギイ
ユゲツト ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• リリアン・ロ ス
テイポオ ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• ワーナー・オーランド
トリスタン ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••ロオフオード・ダビツドソン
オリヴイル ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• アーサー・ストオン
占星師 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• トマス・リケツツ
・梗概・時は西暦千四百六十五年、
フランス王国の首都巴里は強敵ブルガ
ンデイ侯の軍勢に包囲されて、落城の
日も目捷の間に迫つて居ります。
折から、この頃パリの酒場に夜毎漂
泊ふ詩人にフランソア・ヴイヨンとい
ふ愛国の血に燃える若者がゐてあまた
の放浪者達をあつめては、国王ルイ十
一世の不甲斐なさを憤つて居りました
彼は、劔をとつても当時並ぶもののな
い達人で、あまたの放浪者達は、ヴイ
ヨンをあたかも王者の如くに仰いで居
ります。中にも、女乞食のユゲツトは
深くヴイヨンを愛して、彼のためには
身命をも抛つほどでした。
【左頁】
暁――しづまの教会へひそかに祈り
を上げに来たカトリーヌ姫にフト巡り
合つたヴイヨンは、その絶世の美貌に
ひかれて後を追ひ、姫をおそひかゝつ
た悪者達から彼女を救つて燃え上る思
ひを唄に托すのでした。
一方、王宮にあつたルイ十一世は占
星師を招いて国運を占はせたところ、
巴里を救ふもの陋巷より出でんといふ
星占なりといはれ、秘かに姿をかへて
ヴイヨンの酒場へやつて参ります。
又、その時秘かにブルガンデイ侯と
結んでフランス王国を滅ぼし自分が諸
侯の一人にならうとの野心を抱いた大
将軍のテイポオが、その計画のカトリ
ーヌ姫を拐かすところをヴイヨンのた
めに妨げられて終つたので深く怒り、
ヴイヨンを殺さうと同じ酒場へやつて
来ますが、ヴイヨンの剱の為めに却つ
てテイポオは刺されました。
之を秘かに目撃したルイ王は、ヴイ
ヨンこそ星占の救ひ主と信じ、彼を捕
へさせて王宮へつれ返ります
やがてヴイヨンは国王からモンコル
ピエ伯爵の称号を受け、七日間だけの
フランス王国の大将軍に任ぜられます
しかし八日目の朝は放浪者として、絞
首台に送られるのでした。しかし彼は
欣んで宮中に止まることを約束しまし
た。彼とカトリーヌ姫は互に深く恋す
る仲となります。その彼が宮中に止ま
ることを許された最後の晩のこと、敵
軍からの勧降使を追ひ返して名残りの
大饗宴を開きます。ところが先に死ん
だと思はれたテイポオが意外の軽傷で
快復し放浪者の群に加はりヴイヨンを
恋するユゲツトその他の者を使嗾して
この饗宴の席から国王を虜にする計画
を立てゝゐます。ヴイヨンは巧みにそ
の計画の裏を掻きますが哀れなユゲツ
トはテイポオがヴイヨンを刺さうと揮
つた刃に命を落します。憤怒にもえた
ヴイヨンはかくてテイポオを刺しあま
たの放浪者を率ゐてブルガンデイ軍の
陣中へ切つて入ります。大勝利、大勝
利、フランスは大山の安定におかれ
ましたが、あはれヴイヨンは最初の約
束通り絞首台上の露と消えねばなりま
せんでした。あまたの放浪者にまもら
れてヴイヨンは絞首台上に引具されま
す。その時いま深く彼を愛するカトリ
ーヌ姫がすべてを捧げつゝ彼の足下へ
かけ上るのでした。
【頁番号左下に「3」】
現代語訳
【右頁右下端に頁番号「2」】
放浪の王者【タイトル大活字】
製作 パラマウント西部撮影所 × 原作ジャスティン・ハントリー・マッカーシー氏作戯曲「我れ若し王者なりせば」及び喜歌劇「放浪の王者」 × 脚色及台詞ヘルマン・J・マンキウィッツ氏 × 台本及歌詞ウィリアム・H・ポスト氏、ブライアン・フッカー氏 × 音楽ルドルフ・フリムル氏 × 撮影 ヘンリー・ジェラード氏、レイ・レナハン氏 × 発売1930年4月11日
監督 ルートヴィヒ・ベルガー氏
配役
フランソワ・ヴィヨン •••••••••••••••••••••••••••••• デニス・キング
カトリーヌ姫 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• ジャネット・マクドナルド
ルイ11世 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• O・P・ヘギー
ユゲット ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• リリアン・ロス
ティボー ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• ワーナー・オーランド
トリスタン ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••ローフォード・デイヴィッドソン
オリヴィエ ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• アーサー・ストーン
占星師 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• トマス・リケッツ
・梗概・時は西暦1465年、フランス王国の首都パリは強敵ブルガンディ侯の軍勢に包囲されて、落城の日も目前に迫っています。
折から、この頃パリの酒場に夜毎さまよう詩人にフランソワ・ヴィヨンという愛国の血に燃える若者がいて、多くの放浪者たちを集めては、国王ルイ11世の不甲斐なさを憤っていました。彼は、剣をとっても当時並ぶもののない達人で、多くの放浪者たちは、ヴィヨンをあたかも王者のように仰いでいます。中でも、女乞食のユゲットは深くヴィヨンを愛して、彼のためには身命をも投げ出すほどでした。
【左頁】
暁――静寂の教会へひそかに祈りを上げに来たカトリーヌ姫にふと巡り合ったヴィヨンは、その絶世の美貌に惹かれて後を追い、姫を襲いかかった悪者たちから彼女を救って燃え上がる思いを歌に託すのでした。
一方、王宮にいたルイ11世は占星師を招いて国運を占わせたところ、パリを救う者は路地裏より出でんという星占いだったと言われ、ひそかに姿を変えてヴィヨンの酒場へやって来ます。
また、その時ひそかにブルガンディ侯と結んでフランス王国を滅ぼし自分が諸侯の一人になろうとの野心を抱いた大将軍のティボーが、その計画のカトリーヌ姫を拐かすところをヴィヨンのために妨げられて終ったので深く怒り、ヴィヨンを殺そうと同じ酒場へやって来ますが、ヴィヨンの剣のために却ってティボーは刺されました。
これをひそかに目撃したルイ王は、ヴィヨンこそ星占いの救い主と信じ、彼を捕らえさせて王宮へ連れ帰ります。
やがてヴィヨンは国王からモンコルビエ伯爵の称号を受け、7日間だけのフランス王国の大将軍に任じられます。しかし8日目の朝は放浪者として、絞首台に送られるのでした。しかし彼は喜んで宮中に留まることを約束しました。彼とカトリーヌ姫は互いに深く恋する仲となります。その彼が宮中に留まることを許された最後の晩のこと、敵軍からの降伏勧告使を追い返して名残の大饗宴を開きます。ところが先に死んだと思われたティボーが意外の軽傷で快復し放浪者の群に加わりヴィヨンを恋するユゲットその他の者を使嗾してこの饗宴の席から国王を虜にする計画を立てています。ヴィヨンは巧みにその計画の裏をかきますが哀れなユゲットはティボーがヴィヨンを刺そうと振った刃に命を落とします。憤怒に燃えたヴィヨンはこうしてティボーを刺し多くの放浪者を率いてブルガンディ軍の陣中へ切って入ります。大勝利、大勝利、フランスは大いなる安定に置かれましたが、哀れヴィヨンは最初の約束通り絞首台上の露と消えねばなりませんでした。多くの放浪者に守られてヴィヨンは絞首台上に引き出されます。その時いま深く彼を愛するカトリーヌ姫がすべてを捧げつつ彼の足下へ駆け上るのでした。
【頁番号左下に「3」】
英語訳
[Page number "2" at bottom right of right page]
THE VAGABOND KING [Title in large typeface]
Production: Paramount Western Studios × Original: Play "If I Were King" and operetta "The Vagabond King" by Justin Huntley McCarthy × Screenplay and dialogue by Herman J. Mankiewicz × Book and lyrics by William H. Post and Brian Hooker × Music by Rudolf Friml × Cinematography by Henry Gerrard and Ray Rennahan × Released April 11, 1930
Director: Ludwig Berger
Cast
François Villon •••••••••••••••••••••••••••••• Dennis King
Princess Catherine •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• Jeanette MacDonald
Louis XI •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• O. P. Heggie
Huguette ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• Lillian Roth
Thibault ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• Warner Oland
Tristan ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••Lawford Davidson
Olivier ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• Arthur Stone
Astrologer ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• Thomas Ricketts
・Synopsis・ The year is 1465 AD. Paris, the capital of the Kingdom of France, is besieged by the army of the Duke of Burgundy, a formidable enemy, and the day of the city's fall is imminent.
At this time, there was a young poet named François Villon who wandered nightly in the taverns of Paris, burning with patriotic fervor. He gathered many vagabonds around him, lamenting the inadequacy of King Louis XI. He was an unparalleled master swordsman of his time, and many vagabonds looked up to Villon as if he were a king. Among them, Huguette, a female beggar, loved Villon so deeply that she would sacrifice her life for him.
[Left Page]
At dawn—Villon happened to encounter Princess Catherine who had come secretly to pray in the quiet church. Enchanted by her extraordinary beauty, he followed her, saved her from villains who attacked the princess, and expressed his burning passion through song.
Meanwhile, Louis XI in the royal palace summoned an astrologer to divine the fate of the kingdom. The stars foretold that the savior of Paris would come from the back alleys. The king secretly disguised himself and came to Villon's tavern.
At the same time, General Thibault, who secretly conspired with the Duke of Burgundy to destroy the Kingdom of France and become one of the nobles himself, became deeply enraged when Villon thwarted his plan to kidnap Princess Catherine. He came to the same tavern to kill Villon, but was instead stabbed by Villon's sword.
King Louis, who secretly witnessed this, believed that Villon was the savior foretold by the stars, and had him captured and brought back to the palace.
Soon Villon received the title of Count of Montcorbier from the king and was appointed general of the Kingdom of France for only seven days. However, on the morning of the eighth day, he would be sent to the gallows as a vagabond. But he gladly promised to remain in the palace. He and Princess Catherine fell deeply in love with each other. On the last night he was allowed to stay in the palace, they drove away the enemy's envoys who came to demand surrender and held a farewell banquet. However, Thibault, who was thought to have died, had surprisingly recovered from minor wounds and joined the group of vagabonds, plotting to capture the king during this banquet by inciting Huguette, who loved Villon, and others. Villon cleverly outmaneuvered their plan, but poor Huguette was killed by the blade that Thibault wielded to stab Villon. Enraged, Villon thus stabbed Thibault and led many vagabonds to attack the Burgundian army camp. Great victory, great victory! France was placed in great stability, but alas, Villon had to vanish like dew on the gallows according to his original promise. Protected by many vagabonds, Villon was led to the gallows. At that moment, Princess Catherine, who now loved him deeply, ran to his feet, offering everything.
[Page number "3" at bottom left]