翻刻
【右頁右下端に頁番号「4」】
【左右の4•5頁を三段に分け上段にはタイトル 右から読む 】
【タイトル左右2頁にわたり横書き】
沈黙の敵
【左右2頁にわたり縦書き】
提 供
パラマウント映画社
製 作
W・ダグラス・パードン
ウイリアム・C・チャンラー
原 作
W・ダグラス・パードン
脚 色
リチヤード・カーヴア
音 楽
マサード・カー・ゼエン
撮 影
セーセル・ル・ピカール
監 督
エツチ・ビー・カーヴア
字 幕
ジユリアン・ジヨンソン
発 売
一九三〇年八月二日
【右頁二段目写真下に配役を記した枠】
【右から読む】
配役
【枠内縦書き】
チエトガ (酋長)
••••••酋長イエロー・ローブ
バラツク (猟人)
•••••••••酋長ロング・ランス
ダグワン (魔術師)
•••••••••酋長アカワナツシ
ニーワ (酋長の娘)
••••••スポツテツト・エルク
チーカ (同息子)
••••••••••••••••••••チーカ
【本文縦書き】
・梗 概・
オジプウエイ族の酋長チエトガは、久
しい間一同のものをよく支配して来ま
したが、老齢に達したので腕利きの猟
人バラツクと魔術師のダグワンとに酋
長としての責務を負はすことにして、
自らは仕事を辞すことになりました。
処がこのダグワンという魔術師は極
めて狡智にたけた男で、ひそかにチエ
トガの娘ニーワに想をよせ、折があつ
たらばとその機をねらつて居りました
しかしニーワは予てから猟人のバラツ
クを愛してゐたゝめに、さうしたダグ
ワンを無気味にいつも思つてゐます。
【右頁下段】
その内、ダグワンは遂にチエトガに
向つてニーワとの結婚を申込んで来ま
した。その申込を受けて、チエトガは
直ちに断ることをダグワンの神変不思
議な魔術を恐れて躊躇します。
そのうち、北極民族にとつて、恐る
べき冬がやつて来ました。
冬は、彼等インデイアンにとつて糧
食の欠乏を来たすといふ、最も恐ろし
いサイレント・エネミイだつたのであ
ります。
げう〳〵しい会議が、チエトガのも
とに開かれました。その時バラツクは
あまたの猟人達をつれて南の方へ行く
と云ひ出しますが、ダグワンは非常に
之を反対します。
それのみならずかくの如く食物の欠乏
を来たしたのは猟人としてのバラツク
の力が必意足らないからだと罵るので
した。
しかしチエトガはバラツクを慰めて
南の方へ、バラツクの説の通りに旅を
することを宣言します。かくしてバラ
ツクの一行は南へ向つて旅立ちます。
それから幾日。
バラツクからは何のおとずれもあり
ません。待つ種族の食物は日増しに欠
【左頁中段】
乏するばかり。
その時、バラツク一行が空手で悄然
と引き上げて来ました。あはれ何の食
物も南には得られなかつたのです。
バラツクは、しかし北の方へ行けば
今度こそ必ずかも鹿の大群に行き当る
と云ひ出しますが、再びダグワンが之
を反対します。
がチエトガは再度バラツクの計画に
同意し、いよ〳〵北を向けて進むこと
になりました。
空しい氷原の上を旅すること幾日か
幾夜か。
食物は全く尽きて、老人や女達は一
歩も先へ進むことが出来なく
なります。やむなくキヤンプ
を張つて苦難の生活が初まり
ます。
バラツクは獲物を求めに森
へ行き、僅か一頭の麋【おおじか】をさし
とめて帰ります。その間チエ
トガは山上に行つて神に祈を
さゝげてゐましたが、烈しい
飢渇と苦痛に堪へず、バラツ
クを酋長に推したまゝ死んで
しまふのでした。
新しく酋長となったバラツ
【左頁下段】
クは再び種族を率ゐて北進します。
ひとりすべてを裏切られたダグワン
は戦士達とはかつてバラツクの勢力を
地におとさうと、種々計画をめぐらし
ます。
数週間の旅の後、ダグワンは神託を
蒙ると称して儀式を行ひました。
その時、彼自らの魔法の踊りを踊つ
てゐる最中、一陣の風が吹き起つて来
ますが一同はダグワンの不思議な力の
至すところと思つて居りますと、彼は
之をもつてバラツクをいけにえにせよ
との神の意志であると言ひ放ちます。
バラツクは、しかし種族のために自
ら進んでダグワンの火葬を受けやうと
します時、炎々と燃え上つた火の彼方
に数万のかも鹿が大挙して現れました
バラツクは配下の猟人達を引きつれて
この大群を襲撃します。
多くのかも鹿は斃【たお】され、種族は一挙
に豊猟を得ました。
同時に、新酋長バラツクはその功を
たゝえられ、偽りの魔術師ダグワンは
種族から放逐され、晴れてニーワはバ
ラツクの腕に抱かれることが出来るこ
とゝなるのであります。
【頁左下端に頁番号「5」】
現代語訳
【右頁右下端に頁番号「4」】
【左右の4・5頁を三段に分け上段にはタイトル 右から読む 】
【タイトル左右2頁にわたり横書き】
沈黙の敵
【左右2頁にわたり縦書き】
提 供
パラマウント映画社
製 作
W・ダグラス・パードン
ウィリアム・C・チャンドラー
原 作
W・ダグラス・パードン
脚 色
リチャード・カーバー
音 楽
マサード・カー・ゼエン
撮 影
セシル・ル・ピカール
監 督
H・B・カーバー
字 幕
ジュリアン・ジョンソン
発 売
1930年8月2日
【右頁二段目写真下に配役を記した枠】
【右から読む】
配役
【枠内縦書き】
チエトガ (酋長)
••••••酋長イエロー・ローブ
バラック (猟人)
•••••••••酋長ロング・ランス
ダグワン (魔術師)
•••••••••酋長アカワナッシ
ニーワ (酋長の娘)
••••••スポッテッド・エルク
チーカ (同息子)
••••••••••••••••••••チーカ
・梗 概・
オジプウェイ族の酋長チエトガは、長い間一族のものをよく支配してきましたが、老齢に達したので腕利きの猟人バラックと魔術師のダグワンとに酋長としての責務を負わせることにして、自らは仕事を退くことになりました。
ところがこのダグワンという魔術師は極めて狡猾にたけた男で、ひそかにチエトガの娘ニーワに想いを寄せ、機会があったらと、その機をねらっていました。しかしニーワは以前から猟人のバラックを愛していたため、そうしたダグワンを不気味にいつも思っています。
【右頁下段】
その内、ダグワンは遂にチエトガに向かってニーワとの結婚を申し込んできました。その申し込みを受けて、チエトガは直ちに断ることをダグワンの神変不思議な魔術を恐れて躊躇します。
そのうち、北極民族にとって、恐るべき冬がやって来ました。
冬は、彼等インディアンにとって糧食の欠乏をもたらすという、最も恐ろしいサイレント・エネミー(沈黙の敵)だったのであります。
激しい会議が、チエトガのもとに開かれました。その時バラックは多くの猟人達を連れて南の方へ行くと言い出しますが、ダグワンは非常にこれを反対します。
それのみならずこのように食物の欠乏をもたらしたのは猟人としてのバラックの力が必ず足らないからだと罵るのでした。
しかしチエトガはバラックを慰めて南の方へ、バラックの説の通りに旅をすることを宣言します。こうしてバラックの一行は南へ向かって旅立ちます。
それから幾日。
バラックからは何の知らせもありません。待つ種族の食物は日増しに欠
【左頁中段】
乏するばかり。
その時、バラック一行が空手で悄然と引き上げてきました。哀れ何の食物も南には得られなかったのです。
バラックは、しかし北の方へ行けば今度こそ必ずかもしかの大群に行き当たると言い出しますが、再びダグワンがこれを反対します。
がチエトガは再度バラックの計画に同意し、いよいよ北を向けて進むことになりました。
空しい氷原の上を旅すること幾日か幾夜か。
食物は全く尽きて、老人や女達は一歩も先へ進むことが出来なくなります。やむなくキャンプを張って苦難の生活が始まります。
バラックは獲物を求めに森へ行き、わずか一頭の麋(おおじか)を射止めて帰ります。その間チエトガは山上に行って神に祈りを捧げていましたが、激しい飢渇と苦痛に耐えず、バラックを酋長に推したまま死んでしまうのでした。
新しく酋長となったバラ
【左頁下段】
ックは再び種族を率いて北進します。
ひとりすべてを裏切られたダグワンは戦士達とはかってバラックの勢力を地に落とそうと、種々計画をめぐらします。
数週間の旅の後、ダグワンは神託を蒙ると称して儀式を行いました。
その時、彼自らの魔法の踊りを踊っている最中、一陣の風が吹き起こってきますが一同はダグワンの不思議な力の至すところと思っていますと、彼はこれをもってバラックを生贄にせよとの神の意志であると言い放ちます。
バラックは、しかし種族のために自ら進んでダグワンの火刑を受けようとします時、炎々と燃え上がった火の彼方に数万のかもしかが大挙して現れました。バラックは配下の猟人達を引き連れてこの大群を襲撃します。
多くのかもしかは倒され、種族は一挙に豊猟を得ました。
同時に、新酋長バラックはその功をたたえられ、偽りの魔術師ダグワンは種族から放逐され、晴れてニーワはバラックの腕に抱かれることが出来ることとなるのであります。
【頁左下端に頁番号「5」】
英語訳
[Page number "4" at bottom right of right page]
[Pages 4-5 divided into three sections, title at top section, read from right]
[Title across both pages in horizontal writing]
THE SILENT ENEMY
[Across both pages in vertical writing]
Presented by
Paramount Pictures
Produced by
W. Douglas Burden
William C. Chandler
Original Story by
W. Douglas Burden
Scenario by
Richard Carver
Music by
Massard Car Zeen
Cinematography by
Cecil Le Picard
Directed by
H. B. Carver
Titles by
Julian Johnson
Released
August 2, 1930
[Box with cast below photo on second section of right page]
[Read from right]
Cast
[Inside box, vertical writing]
Chetoga (Chief)
••••••Chief Yellow Robe
Baluk (Hunter)
•••••••••Chief Long Lance
Dagwan (Medicine Man)
•••••••••Chief Akawanush
Neewa (Chief's Daughter)
••••••Spotted Elk
Cheeka (His Son)
••••••••••••••••••••Cheeka
・Synopsis・
Chetoga, chief of the Ojibway tribe, had ruled his people well for a long time, but having reached old age, he decided to entrust the responsibilities of chieftainship to Baluk, a skilled hunter, and Dagwan, a medicine man, while he himself would retire from duty.
However, this medicine man Dagwan was an extremely cunning man who secretly harbored feelings for Chetoga's daughter Neewa, waiting for an opportunity to act on them. But since Neewa had long loved the hunter Baluk, she always found Dagwan sinister.
[Bottom section of right page]
Eventually, Dagwan finally approached Chetoga to propose marriage to Neewa. Upon receiving this proposal, Chetoga hesitated to refuse immediately, fearing Dagwan's mysterious and supernatural magic.
Meanwhile, the terrible winter came for the Arctic peoples.
Winter was the most fearful Silent Enemy for these Indians, bringing food shortages.
An intense council was held under Chetoga. At that time, Baluk proposed to take many hunters south, but Dagwan strongly opposed this.
Moreover, he berated Baluk, saying that the food shortage was caused by Baluk's inadequate skills as a hunter.
However, Chetoga comforted Baluk and declared they would travel south according to Baluk's plan. Thus Baluk's party set out toward the south.
Several days passed.
There was no word from Baluk. The food of the waiting tribe grew scarcer day by day.
[Middle section of left page]
Then Baluk's party returned empty-handed and dejected. Sadly, no food could be found in the south.
Baluk said, however, that if they went north, they would surely encounter large herds of caribou this time, but again Dagwan opposed this.
But Chetoga agreed to Baluk's plan again, and they decided to head north.
Traveling over the barren ice fields for days and nights.
The food was completely exhausted, and the elderly and women could no longer take another step forward. They had no choice but to make camp and begin a life of hardship.
Baluk went to the forest seeking game and returned having shot only one moose. During this time, Chetoga went to the mountaintop to offer prayers to the gods, but unable to endure the severe hunger and suffering, he died after naming Baluk as chief.
The newly appointed Chief Baluk
[Bottom section of left page]
again led the tribe northward.
Dagwan, now completely betrayed, conspired with the warriors to devise various plans to bring down Baluk's power.
After several weeks of travel, Dagwan performed a ritual claiming to receive divine oracle.
At that time, while he was performing his magical dance, a gust of wind arose, and while everyone thought it was the result of Dagwan's mysterious power, he proclaimed that this was the gods' will to sacrifice Baluk.
Baluk, however, was willing to accept Dagwan's fire ordeal for the sake of his tribe, when tens of thousands of caribou appeared en masse beyond the blazing flames. Baluk led his hunters to attack this great herd.
Many caribou were killed, and the tribe achieved abundant hunting in one stroke.
At the same time, the new chief Baluk was praised for his achievement, the false medicine man Dagwan was banished from the tribe, and Neewa was finally able to be embraced in Baluk's arms.
[Page number "5" at bottom left of page]